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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第2話

1 :名無し募集中。。。:2008/04/19(土) 15:44:02.94 0
前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1208090669/

642 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:17:56.23 0
「おっと、ここまでだ」

行く手を阻まれ亀井と道重はイケメン集団に囲まれる

「わたしたちをどうするつもり!?」

さんざん追い回され、体力の少ない道重は息が切れてなにも喋れない
亀井も心臓がバクバク言っているが、道重を守るために弱気にならないように威勢を張る
だが基本的に攻撃能力を持たないこの2人、当然ながら戦闘向きではない
道重の癒しは言わずもがな、亀井の傷を共有する能力も対象の精神とシンクロさせなければ発揮できない
そうでなくてもわざわさ自らの身体に傷を付けなければならないのだ
複数の相手に襲われると状況は圧倒的に不利になる

「どうするって、こうするのさっ!」
「ぐはっ!」

イケメンのひとりが道重を羽交い締めにし、もう一人が鳩尾に当て身を喰らわせた
手加減を知らない男の一撃によって道重は抱えられたままぐったりと項垂れる

「さゆっ!」

亀井が道重に向かって足を踏み出そうとしたところを別の2人組に取り押さえられた

「ちょっと!なにすんのよ! さゆ!目を覚まして、さゆっ!」

信じられない力で押さえつけられ身動きが取れない亀井は、道重の目を覚まさせようと必死に叫ぶ

「ふん、あっけないもんだねえ、これがリゾナントピンクとリゾナントオレンジの最後になるとは」

闇の中から一人の女が現れた

643 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:18:40.46 0
>>642
どうやらこの女が男たちのリーダーのようだ

「わたしたちをリゾナンダーだと知って!?」

女は亀井の驚きを鼻で笑うと話しを続ける

「リゾナンダーもバラバラになればたいしたことない。特におまえら二人は。
 傷を癒すヒーラーがいなければ自慢の能力も宝の持ち腐れと言うことだ。
 ん? どうするリゾナントオレンジ? 自分も死ぬのを覚悟で私たちを殺すかい?」

亀井の顔を覗き込むように不敵な笑みを浮かべる
ぺっ! その女の顔に向かって亀井が唾を吐いた

「このアマッ!」

女は反射的に平手を打とうとしたが頬の直前で止める

「おっと、危ない危ない、返り討ちに遭うとこだったよ。この女の能力は自分の傷を他人に共有すること。
 迂闊に傷をつけると自分に返ってくるから気をつけな」

誰に言うともなく解説を加える
女はそのまま道重の側に近寄り長い黒髪を引っ張り顔を持ち上げると、その横っ面をおもいっきりひっぱたいた

「さゆっ!」

女は振り返ると亀井を睨みつけた

「まずこのヒーラーを殺してからた。そのあとでおまえをゆっくりと始末しててやる。おまえら、やっちまいな!」

644 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:19:31.10 0
>>643
女が命令すると男たちはバールのようなものを持ち出し道重を殴り始めた
透き通るほど白い肌がみるみる紫色に変わっていく
頭部からは出血もみられ、地面に地だまりが出来ていた
ゴキッ!と鈍い音が聞こえ腕があらぬ方向にネジ曲がげられる
さきほどまでイケメンだった男たちの顔は醜悪なほど歪んでいた

 胸が苦しい
  これは心臓の発作?
   それとも心の痛み?
    さゆが壊れていく・・・

亀井の中に何かが響いた

「それ以上さゆに手を出すなーっ!!」

亀井が叫ぶと亀井を押さえていた2人の男が叫び声をあげてのたうち回る
男たちの身体中が切り刻まれ血が噴き出していた
亀井の周りが陽炎のように揺らいでいる

「何をした!? 下手なマネをするとこの女の命はないぞ!」

男が道重の首にナイフを突き立て亀井を脅す
殺そうとしている人間を盾に「命はないぞ」と脅すのもどうかと思うが
亀井の耳にその言葉はまったく届いていなかった
ごうっという音と共に一陣の突風が吹き抜けていく
と同時に、道重の首にナイフを突き立てていた男の腕から血が吹き出した

「カマイタチ? そんな馬鹿な!?」

女は驚きを隠せない

645 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:21:50.03 0
>>644
亀井の周りを回るつむじ風に亀井の髪が舞い上がる
風の流れを操って真空の刃を作り出す能力
親友の死を直前にして新たな能力の発動である
さっきまで小さなつむじ風だったものが今では竜巻のように激しく渦を巻き、周囲の物を巻き上げていく
男たちが道重から離れ、微動だにしない道重の身体だけが地面に横たわっていた

「こんな情報は聞いてないぞ。くそ、一旦撤退だ」

リーダーの女と傷だらけの男たちが夜の街に消えていった
だが亀井にはそんなことはどうでもいい

「さゆっ!」

道重に駆け寄る亀井
道重は息をしていなかった

「お願い! さゆ、目を覚まして!」

亀井は心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す
唇を重ね、まるで命を吹き込むかのように肺を膨らませる

「ごほ、ごほっ! 痛っ!」

道重の意識が戻った
次の瞬間、道重の身体中にあった傷がビデオの巻き戻しを見ているかのように治っていく

「さゆ、良かっ・・・た・・・」

道重と入れ替わるように亀井が倒れる

「え?ちょっと?なに? 絵里ーッ!?」

646 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:24:00.57 0
>>645

近くのビルの屋上に少女のシルエットがあった
先ほどの出来事を一部始終眺めていたらしい

「また共鳴した。いったいこの能力の源はなんなのだ?
 そして共鳴の秘密とはいったい?」

少女は疑問を口にするとビルの中に入っていく
救急車のサイレンが街をこだましていた

647 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:25:19.21 0
>>646

「もー、さゆみ死ぬほど心配したんだからね。絵里は無茶しちゃダメなの」

病室のベッドに寝ている亀井に向かって道重が叱っているようだ
実際死にかけていて、亀井が道重以上に心配していたことなどは知るよしもない
また亀井がそれを道重に話すこともこの先ないだろう

「うへへへ、ごめんねえ、さゆ。でもおかげで絵里、新しい能力を身につけたんだよ」
「へえ、なんなの? その能力って」

そのとき僅かに開いていた窓から風が吹き込み病室のカーテンがふわりと膨らんだ

「あ、窓が開けっ放しだった」

道重が窓を閉めようと立った瞬間、外から花びらが舞い込み道重の周りを踊るように飛び回る

「わぁ、綺麗」

道重が喜んだのもつかの間、いたずらな風は道重のスカートを捲り上げた

「きゃあ!」
「秘技・神風の術〜 うへへへ」
「んもぅ、絵里のエッチ!」

648 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 03:26:07.86 0
>>642-647
以上です
勝手に新しい能力を加えちゃいました

649 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:21:30.02 0
>>648
さゆえりはやはりナイスコンビですなw

すげー長くなってしまいましたが…>>539-550よりも前に
れいながさゆえり初めて出会っていたって設定での話
うまく繋げられてないけどご勘弁を…

>>632
お待たせしましたw

650 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:22:46.73 0
 
「絵里ー、大変大変!ビックニュース!」
今日もさゆみは病室に駆け込んでくるなりかばんを放り投げた
いつも通りの笑顔
しかし、今日の登場はいつものお決まりの台詞とは違っていた

「どうしたの?」

さゆみはベッドの傍らにあった椅子を引き寄せた
が、そこには座らず絵里の目の前にグッと顔を寄せる

「今ね、ロビーが大変な事になってたの」
「ん?なんで?」
「おっきな事件があったんだって!」
「ふーん・・・」
「あれ?絵里、興味ない?」
「うん。あんまりー」
「なーんだ、つまんないのー」

さゆみは頬を膨らませて、ドカッと椅子に腰を下ろした

「興味はないけど、話は聞くよ?」

すっかりいじけてしまったさゆみを見て、やっぱり年下なんだなと納得した絵里は優しく声をかけた

「あのね、50人対ひとりの大喧嘩があったんだって!」
 


651 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:23:38.00 0
 
それは街外れの河原での事

“湾田橋近くの河原で不良達が大人数で喧嘩をしている”

近所の住民の通報で警察が現場に駆けつけた時、それは既に収束しつつあった

倒れたまま動かない者
痛みに堪え切れず喚いている者
腰を抜かしてもなお逃げようと地を這い蹲う者
河原に生い茂る草花にこびり付いた大量の血痕

異様なその光景のむこう側で体を小さくしてうずくまっている少女

その少女の腕の中には小さな黒猫が一匹

その黒猫は息をしていなかった
 


652 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:26:15.60 0
 
「って、看護婦さんが言ってたの」
「うそだー、その女の子がひとりで50人をやっつけたって事ぉ?」
「って警察の人が言ってたって看護婦さんが言っての」
「えー、絶対嘘だってぇ」
「じゃぁ絵里は、誰がやったと思うの?」
「そんなの絵里、知らないってばぁ」

こんな些細な話題でも絵里にとって、さゆみとの会話のキャッチボールが心地良かった

「絵里ちゃん?ちょっといいかしら?」

会話に夢中になりすぎて、看護婦さんのノックの音を聞き逃していたようだ
いつの間にか部屋の入り口には絵里の担当看護婦が呆れた表情で立っていた

「はい、なんですか?」
「今晩から、絵里ちゃんの隣のベッドに女の子が来ることになったのね」

2,3日前から空いたままになっていた絵里の隣のベッドを指差す

「外科の患者さんなんだけどさ、ベッド足りないからとりあえずこっちで面倒みることになったんで」
「わかりましたぁ」
「絵里ちゃんのひとつ下の女の子だから仲良くしてあげてね」
「はぁーい」
「じゃぁ、さゆみと同じ年なの」
「そうね、じゃぁ今から連れてくるから」

そう言い残して看護婦は静かに扉を閉めた
 


653 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:28:14.04 0
 
「どんな子だろうねぇ」
「かわいい子がいいの」
「さゆの基準はそこだけぇ?」
「そこは重要なの」

やっぱりこの時間は心地良い
絵里とさゆみがしばらくの間、楽しい時間をすごしていると

先程の看護婦が猫をつれて戻ってきた



寝苦しい
その夜、絵里はめずらしくなかなか寝付けずにいた
隣のベッドからビリビリと何か不思議な感覚が伝わってくるから
物音はしないけれど隣のベッドの猫もまだ眠っていない
そう確信した絵里は思い切って声を掛けた

「あの・・・ちょっとお話しませんか?」



654 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:28:50.93 0
 
少しの間が空いて、モゾモゾとシーツがこすれあう音が部屋に響く

「なん?」

ぶっきらぼうな返答に多少面食らった絵里ではあったが、なんとか言葉を返す

「あの・・・いや・・・なんだか今日は寝付けなくって・・・だから・・・」
「ふぅん・・・」
「あ、あの・・・私、亀井絵里って言います」
「れいな。田中れいな」
「あの・・・怪我・・・大丈夫ですか?」
「こんぐらい大丈夫。ってか、そっち行ってもよか?カーテンとか邪魔やし」
「うん」

と、答えると同時に勢い良くカーテンがめくられる

「わっ!」
「ちょっ、シッ!声デカいし!」
「そう言う田中さんも声おっきいよぉ」
「うっさい」
「あー・・・年上にそんな事言うんだぁ」
「あんた、れなより年上とね?」
「疑ってるー!本当だもん!看護婦さんに教えてもらったんだから間違ってないもん!」
「しゃべり方が年上っぽくなか。アホっぽい」
「絵里はアホじゃないもん!!」

今度は部屋の扉が勢い良く開いて、ふたりは看護婦さんにこっぴどく叱られた
 

655 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:29:51.25 0
 
「で、その田中れいなちゃんは?」
「今診察に行ってる。肋骨にヒビが入ってるんだってー」
「50人相手にしてそれだけ?」
「あと、顔とか腕とか怪我してたよ」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
「どんだけ〜〜」
「あはは!さゆおもしろーい!」

「あいかわらず絵里、うっさい」

扉から不機嫌そうな顔を見せるれいな

「おかえりー。どうだったぁ?」
「ん。ヒビもたいした事ないから4,5日で退院やって」
「えーそうなんだぁ・・・つまんないのぉ」
「絵里。そこ、残念がるんじゃなくて喜ぶ所でしょ?」
「だってぇー」

ふくれっ面の頬をつつきながらさゆみは立ち上がる

「絵里の幼馴染で、道重さゆみって言います」
「あぁ・・・田中れいな。コイツ夜も朝も昼もうるさいけん黙れってあんたからも言っといて」
「絵里はうるさくないもん!」
 

656 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:30:44.12 0
 
絵里は自身の病気のせいで周りに迷惑を掛けているという負い目を感じているせいか
さゆみ以外の人間の前では素直で従順で大人しい年相応の振る舞いで過ごしてきた
なのにどう事だろうか
この田中れいなという猫の前での絵里は、さゆみとふたりっきりの時の絵里そのままだった

「うっさい」
「うっさくないぃ〜」
「絵里は寝てる時以外はうるさいの。」
「うえぇぇ〜」
「そしてそろそろ時間だから、さゆみは帰るね」
「えー、もうそんな時間?」

「なぁ、ミチシゲさん・・・」
「ん?」
「あんた、毎日ここ来よるん?」
「・・・来てるよ?」
「ふぅん・・・仲いいんやね、あんたたち」

そう言って、れいなはカーテンを勢い良く閉めてしまった
絵里とさゆみは無言で顔を見合わせた
 

657 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:31:32.42 0
 
また、今夜も眠れない
昨晩と同じようなこの不思議な感覚に絵里は身を委ねてみる
嫌な気はしない
何かが何かを静かに掻き立てる、そんな感覚
その感覚を丁寧に辿って行った先をにあるものは・・・隣のベッド

「田中さん・・・起きてる?」
「・・・起きとる」

聞き覚えのある物音がカーテン越しに聞こえてくる

「お話してもいい?」
「ん」

今日はゆっくりと開かれる白いカーテン
その隙間からのぞくのは目を細めて少し眠たそうな顔
昼間とはまったく違うその無防備な表情に、絵里は思わず笑みをこぼした

「何笑っとーと?」
「んー?田中さん・・・猫みたいだなと思って・・・」

その言葉にれいなの目がかっと見開かれる
 

658 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:32:19.37 0
 
「え?どうしたの?」
「・・・・・・・・・」

れいなは眉間に皺を寄せて絵里から目を逸らす
明らかに不機嫌になっているもののゆっくりとさゆみの指定席である椅子に腰を下ろした

「ねぇ、田中さん・・・絵里、なんか悪いこと言った?」
「・・・悪いことは言っとらん。ちょっと嫌な事、思い出しただけやけん・・・」
「・・・ごめん」
「いや、あんたは悪くないけん」

絵里の弱々しい謝罪の声に、やっとれいなは顔を上げた
その目にはうっすらと潤んでいるように見えた
慌てて絵里は体を起こして、真正面かられいなを見据える

「田中さん・・・ごめん・・・やっぱり絵里、変なこと言った・・・」
「や、違うけん」

そう言ってれいなは俯きながら目を手の甲でグシグシと荒っぽく拭った
 

659 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:33:11.61 0
 
先程から感じていた不思議な感覚
それが絵里の中でより一層大きく、はっきりとしたものになった
が、依然として正体は不明な感覚
しかしその感覚に導かれるように、絵里は右手を差し出してれいなの頬を優しく撫でた

「泣かないでよ・・・」
「泣いとらん」

れいなの頬に触れた掌から、れいなの涙が染み込んで来るような感覚に襲われる

「でも、泣いてる・・・」
「やけん、泣いとらんって」

絵里はその感覚に導かれるまま、れいなを片手で抱き寄せた
いきなりの絵里の行動に不意打ちをくらったれいなは、体のバランスを崩して絵里のベッドへと倒れこむ

「ちょっ・・・何すると?」
「泣けばいいじゃん」
「何?」
「泣きたい時は泣けばいいじゃん」
「・・・・・・・・・」

れいなの返事も抵抗もないことを確認した絵里は、抱き寄せる腕にさらに力を込める
優しく、ゆっくり、静かに

「絵里はね、泣きたい時は泣いちゃうよ?」
「・・・・・・・・・」
 

660 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:34:06.20 0
 
出会いは遠い昔
れいながまだ幼く、弱く、押しつぶされてしまいそうでもがいている頃
学校からの帰り道、ひとり橋の下で雨宿りをしている時だった

その黒猫もまた、幼かった

その日かられいなは、半分残した給食のパンを持って毎日欠かさず黒猫に会いに行った
休みの日は施設を抜け出して、自分の食べ物を分け与えた

それが何年も続いた
黒猫と過ごす時間が、唯一れいなの心休まる大切な時間だったから

最近では黒猫も年老いてきていたのか、動きも鈍く食欲もない
しかし、れいなが現れると必ず草むらの中からゆっくりと歩み寄ってくるのだった

そして昨日
その日もいつものように、黒猫との約束の場所へ向かっていた

そこで待っていたのは

れいなと黒猫が長い年月をかけて築いてきたものが無残にも壊された残骸だった
複数の人間が黒猫を殴り、蹴り上げ、笑い転げるその光景

大切なものが壊された


ならば  壊した人間を  壊してやる
 

 

661 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:34:58.83 0
 

「そっからは、あんまり覚えてなか」
「うん・・・」
「無我夢中やったけん・・・」
「そっか・・・」

一通り話終わったれいなは派手な音を立てて鼻をすすった

「その猫は、警察の人がちゃんと供養してくれるって言うてくれたけん・・・退院したら墓参りに行くと」
「ねぇねぇ、絵里も行きたい!」
「へ?なんで?」
「なんででも!あ!さゆも一緒に連れてくからさぁ・・・3人で行こうよ!」
「なんで?」
「だからぁ、なんででも!絵里が行きたいから行くの!」
「はぁ・・・まぁそこまで言うなら行ってもええちゃけど・・・」
「今度、絵里の外泊許可出たら行こうね!」
「絵里、外泊できんの?」
「できるよ。たまにだけど・・・よし!決まりぃ〜」

今度はグッと力一杯れいなを抱きしめた
 

662 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:36:03.17 0
 
病院の正面玄関から駆け込んできたさゆみは、ロビーの待合に似つかわしくない派手な格好の人物を見つけた

「れいな!」
「おぅ、さゆ!」

ここ数日ですっかり打ち解けた絵里、さゆみ、れいな
お互いを名前で呼び合う仲になった
が、しかし、今日れいなは退院する

「退院おめでとうなの」
「ありがと。まぁ、まだ痛かったりするんやけどね・・・」
「あんまり無理しちゃダメだからね!」
「わかとーよ」
「で、絵里は?」
「まだ検査から帰って来とらん」
「ふーん・・・」
「れいなだけで申し訳ないですー」
「そーんなこと思ってないよ?れいなちゃんと二人っきりだなんて、さゆみうれしいなー」
「さゆ、棒読みやし」

軽口を叩き合えるまでに3人の距離は縮まっていた
れいなにとってそれは初めての感覚だった
だけど居心地は悪くない、いや、心地良かった
 

663 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:36:41.76 0
 
「ところでさー、ねこちゃんのお墓参りなんだけど」
「あぁ、絵里から話聞いたと?」
「聞いた聞いた。れいなって見かけによらず、優しいんだって思っちゃった」
「ほっとけ」
「まぁまぁ怒らないの。でもさー、さゆみもれいなの気持ちすごくわかるの」
「・・・・・・・・・」
「さゆみもね、小学校の頃、ダンゴムシが友達だったの・・・」
「・・・・・・・・・はぁ?」

それからさゆみはダンゴムシとの思い出をとうとうと語り始めた
ダンゴムシとの出会い、ダンゴムシとの楽しい時間、ダンゴムシと一番盛り上がった会話―――
れいなは静かに頷くしかなかった・・・

「でもね、ある日・・・クラスの男子がさゆみのダンゴムシを教室の窓から投げちゃったの!」
「外に?」
「そう!で、もうさゆみ泣いちゃって・・・」
「・・・はぁ・・・」
「だってお友達が窓の外に投げられちゃったんだよ!しかも、その時の教室が3階!」
「3階・・・ですか・・・」
「酷いよね!でもさゆみ、泣いてるだけでその男子に何も言えなかったの」
「・・・・・・・・・」
「だから、れいなはすごいなって・・・偉いなって・・・絵里と話してたの」
「いや、偉いとか・・・そんなんやないけん」
「ううん、偉いの。もしね、あの時れいながさゆみの傍にいてくれたら、さゆみのこと助けてくれた?」
「・・・あぁ・・・たぶんその男子、殴っとったやろね」
「あはっ、れいならしいー」
 

664 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:37:28.44 0
 
「さゆーー!れーなぁー!」

大きな声で呼ばれた二人は声のする方へと反射的に視線を移す
ロビーの入り口で大きく手を振る絵里

「絵里!おかえ───
「キャーーーーーッ!!!」

さゆみの返事は絵里の近くに居た女性の叫び声にかき消された

何事かとその場に居合わせた全員がその方向に目を向ける
そこにはれいな以上に、病院に似つかわしくない集団

「田中れいなぁ!退院おめでとーー!」
「この前のお礼に来てやったぜ!」
「もういっぺん入院しろや!」
「ってか、二度と退院できねーようにしてやっからよぉ!」

それはれいながつぶしたグループの残党だった
あの黒猫を殺した奴らだった

「どけ!」

その中の一人がこちらへ近づいてくると同時に近くにいた絵里を突き飛ばした

「キャッ!」
「絵里!」
 

665 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:38:55.15 0
 
さゆみは弾かれたように絵里のもとへ駆け寄る

「大丈夫?」

さゆみはその場に倒れこんだ絵里を抱き起こした
しかし、絵里の視線はさゆみの肩越しに送られていた
さゆみもつられてその視線の先にあるものを確認しようと振り向いた

「ぅらぁぁぁあああっ!!」

れいなは絵里を突き飛ばした男の襟首を掴んで、外へ投げ飛ばした

「ぐわぁぁっ!」

派手に転んだ男の腹に鋭い蹴りをぶち込む
後ろから殴りかかる男の右腕を振り返りざまに避けて、カウンターをくらわす
れいなの拳をモロに受けた男の顎から鈍い音がして崩れるように倒れこんだ
残りの男達が束になってれいなに襲い掛かる
しかしれいなは流れるような動きでかわしていく
男達が次々に倒れていく
誰もれいなの動きを止められない
誰もれいなに触れられない
それは荒々しくも、とても美しかった

「ダメッ!」

そんなれいなの動きを止めたのは絵里の一声だった
 

666 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:40:32.03 0
 
「れいな、ダメだから!」
「何?なんで止めると?!こいつらは・・・」
「わかってる!そんなのわかってる!」
「わかっとらん!こいつらは平気で命を奪うような奴らやけん!」
「でも、ダメ!」
「なん?」
「れいなはね・・・れいなのその強さはね・・・人を傷つけるためのものじゃないの!」

絵里の目に涙が溢れ出す

「なっ・・・ぇ・・・絵里・・・」

泣き出しそうな絵里の肩をそっと抱きかかえるさゆみが続ける

「その強さは人を守るために使わなきゃダメなの・・・そしてれいなはそれができるはずなの・・・」
「さゆも・・・何言うとーと?」

刹那の沈黙の後、パトカーのサイレンが風に乗って流れ込んできた
倒れていた男達がその場を去ろうと、ダメージの大きい体を起こし始める
れいなも身の危険を感じて、ロビーのソファに置いたままのかばんの元へと走り出す
れいながすばやくかばんを肩に掛けた時、パトカーは病院の正面玄関に到着し、男達を取り押さえていた

「れいな!」

さゆみが叫ぶ
れいなが振り返る
続けて絵里が小さく呟く

「れーなぁ・・・」
 

667 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:41:28.49 0
 
れいなは口元に薄い笑みを浮かべた

そして、猫のように身を翻して裏口の方へと駆け出した

「あの女だ!追え!」
「裏口だ!」
「パトカーを裏口に回せ!」

取り押さえられた集団の罵声と駆けつけた警察官の怒号が響き渡るロビー
その中で静かに佇む絵里とさゆみ

「行っちゃった・・・」
「ま、いいじゃん・・・また近々会えるんだし」
「でもぉ・・・」
「お墓参り行くんでしょ?」
「絵里、れいなの連絡先・・・聞いてない・・・」
「え?ちょっ・・・バカ?」
「バカじゃないもん!今教えてもらおうと思ってたのにこんなことになっちゃったんだもん!」
「フツー、もっと早く聞いておくよね?」


「絵里が悪いわけじゃないもん!!」

 

668 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:46:30.82 0

長い・・・orz
ご意見苦情等ございましたらなんなりと・・・
勉強して上手く書けるようになりたいので・・・
次書く機会があればもうちょっと短くまとめられるようにがんばります

あと遅くなっちゃいましたがまとめサイトの中の人激しく乙です!
ありがとう!

669 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 05:51:36.40 O
さゆえり
さゆえりれな
乙でした面白かったです もうバキかとw

670 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 06:18:22.15 O
夜明けに乙です
れーなの強さと弱さ
さゆえりと打ち解けていくまでの課程
中々良かったです!

絵里のれーなに掛けたセリフがグッときますね〜

671 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 08:19:29.35 0
次回予告
中華料理店で再会した リゾナンターメンバーと謎の中国人2人組
さっそく話しを持ちかけると なんとあちらも能力者を探していて 
協力してほしいとのこと・・・
 さっそく2人の協力技であるテレポートで 中国へ向かうのだった!

・・家族との再会もつかの間
そこでは 操られたキョンシーによって町が襲われていたのだ!!

新しいタイプの敵に苦戦を強いられるメンバー達・・・
はたして 術者を倒し再び死者を安らかな眠りにつかせる
ことが出来るのだろうか?

・・・そして 中国娘は言う
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17108.jpg
「もう アナタたちとは家族ネ 今度はアナタたちのふるさと護るアルヨ」

再び日本へ行く事を母に告げる2人


次回かなしみ戦隊リゾナンター「ふるさと」

ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17108.jpg
わがままな娘でごめんネ Mother・・・

672 :名無し募集中。。。 :2008/04/24(木) 09:46:03.60 0
おまいら凄いよ

673 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 09:55:58.31 0
次回予告
夕暮れ 今1人の少女が散ろうとしていた・・・・・列車が近づき
ホームから足を踏み込んだ瞬間! 頭の中に言葉が流れ込んでくる
そして まだ自分がホームに立っている事に気づく!!

線路を挟んで向かい側に女性が1人見つめている
唇は動いていないが彼女の言葉だと愛佳は確信する!
      ふたたび流れ込む言葉
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『あなたはさっき一度死んだわ これからのおまけの人生 助けた私に
預けなさい! じゃあ 最初の命令言うわよ 生きなさい! 
かってに死ぬ事はゆるさないから!!』

・・・初めて愛佳に向けられる【死】とは反対の温かい言葉・・・
         少女は心の声で叫ぶ
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         『私生きていいの!?』
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          『生きなさい!』
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     『生きたい!!』『私! 生きたい!!!』
        
愛佳は泣く 周りの驚く人など気にせず「うえぇ〜  うえぇ〜・・」
泣き方に器用 不器用があるならば 不器用だっただろう だが
愛佳は本気で泣いた どんないじめを受けても決して泣かなかった愛佳が・・・


次回かなしみ戦隊リゾナンター「涙が止まらない放課後」

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「いつか晴れるといいな  私の心の止まない雨が・・・」

674 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 10:48:54.78 0
次回予告
売れっ子現役アイドルで 超が付くほどわがままな 小春だったが
リゾナンターの一員となってからは 後輩が出来た事やメンバーと共に
協力して戦っていくうちに 少し変化を見せ始めていた

やがて 率先して喫茶『リゾナント』の清掃を手伝う小春がいた

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「なんという ミラクル!!」
メンバー達から驚きの声が上がる
リーダーはそんな小春をやさしく見守るのだった

そして小春は 昔の自分なら絶対する事がないであろう行動を・・・

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「あのね・・小春 その・・うまく言えないかもしれないけど・・・えっとね」
         「・・・いつもありがとう」


次回かなしみ戦隊リゾナンター「色っぽい じれったい」

「もうっ・・」
そんなじれったい小春を ギュッとマネージャーの飯田は抱きしめた

675 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 11:29:16.90 O
みんなスゲーぜ

676 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 12:25:31.76 O
俺も書く!!

677 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 12:36:01.57 0
れなえりさゆは6期ヲタにとって最高作です

678 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 12:44:52.62 0
今日も充実したお昼休みになりました
ご馳走様ありがとう

679 :まとめの人:2008/04/24(木) 13:04:57.79 O
背景画像の配置がうまく行かないアウアウ
既知のバグらしいのですがうまく行く方法を考え中
ちょっと今は見にくいかもですが許してね

各作者様は今日も素敵な話をありがとう!

680 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 13:05:07.44 O
どうも明け方のれなえりさゆの人です眠いですw
皆様レスdです

>>677
自分も娘。DDの6期推しなのでそう言っていただけて嬉しいですw

681 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 14:40:14.58 O


682 :名無し募集中。。。 :2008/04/24(木) 15:55:47.38 0
おっと

683 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 16:59:20.45 O
wktk

684 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:02:48.29 0


685 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:25:34.38 0
さすがに1位スレも消滅したし人も減ってきたな
次の新曲まで持ってほしいな〜

686 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:26:40.80 0
まあゆっくりマターリいきましょうや

687 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:30:06.36 O
週末にはまた盛り上がるんではなかろうか
いや盛り上がってほしい

688 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:34:54.87 0
http://ng2.or.tp/ReinaT/souce/ReinaT_4387.jpg

赤坂TBSにダークネス出現!
現地に向かいます!

689 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:45:16.76 O
>>688

ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17108.jpg
「何時集合デスか?」
「忘れたダ」


ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17114.jpg
「……………電車乗り過ごしてもうた………」



690 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 18:58:10.76 0
まとめサイトを見せてもらって絵里さん単独の話がないのが気になっていたので今書いています
さゆみさんも登場しますが主に絵里さんの過去を描いている感じです
あまり期待せずにお待ちください

691 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 19:10:21.02 0
>>668
半ばネタで書いたれいなの「50人斬り」がこんな形で読めて感激ですw
6期3人の邂逅最高でした

692 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 19:57:00.29 0
>>668
待ってました!!
三人のキャラがよく出てたし面白かったです
ありがとうございます

693 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 20:12:26.24 0
三人の会話に違和感がなく、自然に想像できて凄くいいですね
自分も頑張ります

694 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 20:36:11.63 0
>>685
次の曲が出るまではさすがにわからないですけどw
とりあえずまだ書きたい小ネタがありますので
できるだけがんばりたいです

>>690
絵里話!楽しみにしてます

695 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:19:59.39 0
愛ガキ話書いてみたんだけど今のっけるのはKYかな

696 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:21:45.52 O
読みたいっす!

697 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:23:18.35 0
>>695
早急にうp!

698 :名無し募集中。。。 :2008/04/24(木) 21:26:28.53 0
おk

699 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:29:12.00 0
んじゃサクッとうp
期待すんなよ初めてなんだから

700 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:30:06.44 0
 
表向きの仕事が終わり、喫茶店へ向かう。
楽しみなはずなのに、里沙の心は晴れない。

最近、組織からの連絡が増えた。
何か大きな行動でも起こそうとしているのか。
それとも、自分が疑われているのか。



「…ただいま」
「おう、おかえり〜。ガキさんも早よご飯食べよっせ」

喫茶店に着いてからも、やっぱり心は晴れないままだ。
もう色んなことに限界なのかもしれない。
ここにはみんながいるのに、どうしても孤独を感じてしまう。
所詮、私は裏切り者だからなのか。


食事が終わると、メンバー達はテレビを見始めた。
どうやらドラマを見ているらしく、みんな食い入るように見ている。
里沙はドラマの内容などちっとも頭に入って来なくて、静かに席を立った。


701 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:30:54.24 0
 
喫茶店の外に出て、夜風にあたる。
最近は夜でもそんなに寒さを感じなくなった。
ぼんやりと空を眺めて、これからの自分について考える。


組織とリゾナンターと、自分。


一体どれが一番大事で、そのために自分は何をすべきなのだろう。
自分は何を守り通したらいいのだろうか。
考えれば考えるほど、頭の中がゴチャゴチャして分からなくなる。



「…ずっとこのまま、だったら楽なのかな…」



組織もリゾナンター達も自分を必要だと言ってくれているが、本当にそうなのだろうか。
今自分がいなくなっても、誰も困らないんじゃないか。
自分は、その程度の存在なんじゃないか。



そんな考えが頭を過ぎって、ひどく悲しくなった。


702 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:32:11.39 0
 
「ガキさん」

いきなり後ろから声が聞こえたので驚いて振り向くと、愛が立っていた。


「…どうしたの?」
「ガキさんこそ急にいなくなってどうしたん?」

そう言って愛は里沙の隣に腰を降ろした。

「…ちょっと、ね」


嘘でもいいからもっと違う言葉を言えば良かった。
これでは愛に心配させてしまう。案の定、愛は真剣な顔で里沙を見つめた。
愛の視線に気付きながらも、里沙は目を合わせられない。


「なんでもないから。大丈夫だから」
「里沙ちゃん」


二人きりの時だけに呼ばれる名前。
それを聞いたら、なんだか胸が苦しくなって思わず泣きそうになってしまった。
でも泣く訳にはいかないので無理矢理笑顔を作って、愛を見る。


「もう。そんなに気になるなら心を読めばいいじゃん」


703 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:32:56.86 0
 
愛は必要以上に人の心は読まない。
それを知っているから、あえてそう言ったのに。


「やだ。里沙ちゃんが話したくないのに、心を勝手に覗く訳にはいかん」


頑固だな、と思った。
愛ちゃんが心を読めば、すぐに自分が何をしているのか分かるのに。
自分が普段何をして、何にこんなに悩んでいるのか、分かるのにな。
だけどごめん。自分からじゃ言えない。


小春が前に仲間を疑った時に、バラしちゃえば良かったのかも知れない。
そしたら、今こんな風に思いつめることも無かっただろう。
この心地よさに、胸を苦しめる事も無かっただろう。




どうしてあの時、言えずにいたのか。




704 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:33:47.30 0
 
「ごめんね、もう大丈夫だから。ごめん」


言えない事が愛をまた裏切っているんだと、分かっているから謝らずにはいられない。
たとえそれが愛を傷つけているとしても。
もう自分ではどうすることも出来ないのだ。



里沙は立ち上がって、2,3歩踏み出すと愛の方へ振り向いた。
愛はまだ心配そうな顔で里沙を見ていた。


「じゃあたし…帰るね」
「明日も、来る?」
「…来るよ。心配しないで」
「うん…」
「おやすみ」
「おやすみ里沙ちゃん」




705 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:34:37.82 0
 
愛はしばらくその場に座ったままでいた。
先ほどの里沙と同じように夜空を眺めていた。


「高橋さん?」
「なんだ、光井か。どうしたの?」
「みんなもう帰るって行ってるんで呼びに来ました」
「そっか。ありがとう」

しかし愛は動こうとはしなかった。
光井はいつまでも動かない愛に異変を感じた。
正直、こんな愛は見たことがない。



「ガキさん、帰ったよ」
「へ?あぁ…そうなんですか」

いきなり愛が口を開いた。
けれど立ち上がる素振りは見せなかったので、光井は愛の隣に座ることにした。
愛は空を見上げたまま、小さく呟いた。


「あーしは、誰の心でも読む事ができる。…けど、あーしの心は誰にも読めん。
 たまにだけど、あーしの心もみんなに読めたらいいのにって思う」

ほら、うまく言葉に出来んことってあるやろ?
そう言って高橋さんは私に話しかけてきた。笑顔なのに、なんだか泣いてるみたいな顔で。
何も言えないでいる私に構わず、高橋さんは続けた。


706 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:35:22.08 0
 
「なんかね、ガキさんが悩んでるみたいでさ。でも、なーんも、してやれない」
「新垣さんが?」
「そう。誰よりも長く一緒にいたのに、全然分からん、ガキさんのこと」
「…そんなこと…」
「それに、いつかいなくなっちゃうような気がして。…明日ほんとに来るんやろうか」


7年も一緒にいたからさ、いなくなったら寂しいやろ。と言って高橋さんは私を見た。
その顔はやっぱり泣きそうで、寂しそうで。
なんとかしてあげたい、そう思ったら、あるモノが視えた。


「高橋さん、明日新垣さん来ますよ」
「え…あぁ、視えたんか」
「はい。明日は一緒に笑ってますよ。みんなと」
「…いいな、光井は視えて」


本心じゃないけれど、少しだけ光井の能力が羨ましいと思った。
自分達の能力は、誰かを助ける事もあるが、逆に自分や誰かを傷つけることもある。
さっきだって、怖くて彼女の心を覗いてあげれなかった。



ほんとは覗いて欲しかったかもしれないのに。
大丈夫だと口では言っても助けを求めていたかもしれないのに。




707 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:36:06.88 0
 
里沙は大通りに出るとタクシーを拾い乗り込んだ。
行き先を告げて、シートに深く背中を預ける。
なんだか酷く疲れてしまった。色々と思いつめてしまったからだろう。
明日になれば、少しは気が楽になるかもしれない。



「愛ちゃん…」



先ほどの彼女の表情が頭から離れてくれない。
自分のことを真剣に心配してくれている彼女。
それでも彼女からは聞いてこない。そんな優しさが、胸を責めてやまない。



「ごめんね」



そっと呟いた。誰にも聞こえないように小さな声で。



――私、愛ちゃん達が思ってるような人間じゃない。私は、みんなを裏切ってる――


里沙の悲しみは誰とも共鳴することなく、夜の闇に木霊する。



708 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:36:59.84 0
以上です
苦情受付ます

709 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 21:39:29.66 O
唯一の苦情は


続きが読みたいここで終わりとは何事だ。・゚・(ノД`)・゚・。

710 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:02:12.30 0
苦情です
何故か視界がぼやけてモニタがよく見えません・・・
ラスト1行がすごくいいねえ

711 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:04:32.59 0
人称が統一されてないのが気になったかな
誰の視点で書くのか天の視点で書くのかを気にするとよくなるかもね

712 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:11:26.35 0
初めて書くって人何人かいたけどさ
ここで書くのが初めてなだけなのか小説書く自体が初めてなのかどっちだろ
後者ならみんなすごすぎるんだけど

713 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:11:28.96 0
>>685
一位スレはないけど↓のスレができてる
【リゾナントブルー】娘。36thシングルを見守るスレ
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1209001960/

714 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:14:48.33 0
娘。の新曲をリクエストしまくるスレ
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1208816490/

↑これとね
ストーリーの世界に浸るのもいいけどこういうのもちょっとやっといたがいいかなあって気もするね
今後もずっと楽しむために

715 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:17:59.32 0
絵里の過去編23時前頃にアップできる予定です
愛ガキすごくよかったです泣いたよコンチクショウ

716 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:20:20.30 O
なんかさ・・・皆のそれぞれが抱える孤独が痛いよ・・・
こんなにも寂しいもんなのかね

717 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:23:24.01 O
>>712
・小説書いたことはあるけど公開するのは初めて

・このスレに書いたのが初めて

・小説自体書いたのが初めて

この3つのどれかだろうな

718 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:27:49.96 O
皆どうやって小説を書くんだろ?

何か書きたい題材があって、これを中心にしたい、これをシメにしたいって結論から肉付けしていくのか
それともこうだったらこうだろ、ならばこの流れでこうだろって頭から肉付けしていくのかな

719 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:32:25.93 0
空からおりてくるんだよ

720 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:32:35.52 0
このスレの中にある物語の1つを書いた者だけど
自分は後者、まあ出来もそれなりのものにしかならなかったけど
自分のときはスレの中にたくさん落ちてる設定を拾っていっただけ
書いてみると楽しかったよ脳内でれいなが勝手に矢をよけたときの感じが


721 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:43:14.93 O
>>719>>720
d

やっぱどこかでひらめいたらバーッて書けるのかなぁ?
設定の積み重ねが人物や物事を作っていってそれを組み合わせる・・・

自分断片的なモノは浮かんでもそれを組み合わせれない

722 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:50:02.37 0
>>720
あれ書いた人か!すごいな初めてであれだけ書けるの
娘。小説はキャラ設定の受け皿が読み手側にあるから少しは書きやすいって言うけど・・・
ただやってなかっただけで得意なんだろうなあ元々

723 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:51:03.94 0
>>721
自分の書き方はまずラストシーン(最後の台詞等)が浮かび
そこまでの過程を大まかに作ってあとはいきあたりばったりです
だから完成する量が読めません

724 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:53:06.91 0
>>721
自分の場合は軸になる大きなテーマを思いついたところから肉付けしていく感じです
このスレの場合設定がすでに出来上がっているので非常にそれがやりやすいですし
ラストシーンは考えていたものと違うものになることもありますね

そんなわけで絵里過去編いかせていただきます

725 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:53:56.43 0
今日も窓の外は抜けるような青空だった。
白で彩られた部屋に差し込んで反射する外からの光は、目を細めたくなるほどに眩しい。

「あ〜あ、つまんないな・・・」

白い壁に囲まれ、白いベッドの上で、白い天井を見ながら、亀井絵里はそう一人つぶやいた。
定期的な長期の検査入院を余儀なくされているこの体が恨めしい。
左胸にそっと手を当てながら、絵里は唇を少し尖らせる。

先天的に持っていたらしい心臓の病は、小学生のときに激しい発作を起こして以降、絵里の生活を大きく制限してきた。
こんないい天気なのにさ、これがなければ今日はさゆと映画見てクレープ食べてそれから色んなことおしゃべりして・・・

そこまで考えて、絵里はため息をつく。
分かってはいるのだ。
自分がどれだけ贅沢なことを言っているか。

幼い頃、自分がそんなことをできるなんてことは期待もしていなかった。
おとぎの国の夢物語に近い感覚で憧れていただけだった。
事実、今のこの齢まで生きられる保証はないとまで言われていたのだ。
しかし、年齢を重ねるとともに絵里の心臓は随分強くなった。
少し前までは入院生活が基本であり、外に出ることすらめったになかったのが、今では病院にいる日数の方が少ない。
そして・・・

「おはよう絵里ー。クレープ買ってきてあげたよー」
「あ、さゆー!淋しかったよぉー」

眩しいくらいに明るかった病室だが、ようやく本当の意味で明るくなったように絵里には思えた。

726 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:54:40.67 0
絵里にとって一番の憧れだったもの。
それは「友達」。
心から笑い合い、思ったことを言い合い、一緒に泣いたり怒ったりできる相手がいればどんなに素晴らしいだろう。
それは自分の心臓の病が治ること以上に切望していたことであり、それと同時に半ばあきらめてもいたことでもあった。
さゆみと出逢うまでは・・・

自分の唯一無二と言ってよかった願いが叶ったのだ。
これ以上多くを望んでは罰が当たるというものだろう。


絵里は、子どもの頃から普通の人間とは違っていた。
心臓に抱えた病気のことだけではなく。

絵里には不思議な能力が備わっていた。
心臓の病気と同様に、おそらくは生まれたときから。

思い返せば、幼い頃からその能力は発現していたように思う。
だが、当時はそのことに自分を含め周りの者も気付いていなかったために、絵里は激しい運動ができない他はごく普通の子どもだった。
その不思議な能力とは「傷の共有」。
自分の受けた傷を、その場にいる他人にも同じ部位に共有させる能力だった。
今は意識的にON・OFFができるが、幼い頃は半ばランダムに発現していた。
その巻き添えを食った者は、まさか絵里が原因だとは思わず、単に知らない間にケガをしていたと思ったことだろう。
実際にそんなことはよくあることだし、激しい運動を控えていた絵里が大きなケガをすることもなかったから、誰も気付かなかった。
それ故、絵里はそれなりに平穏な日常を送っていた。

しかし・・・

727 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:55:08.11 0
「痛い!」

幼稚園に入ってすぐのある休日、ハサミを使った工作をしていた絵里は、過って自らの指を深く切りつけてしまった。
これまでに見たこともない量の血が出たことにパニックになり、絵里は泣き叫びながら同じ部屋にいた父と母の名を呼んだ。
だが、父と母は立ち上がりかけたまま呆然とした表情で固まっていた。
3人がまったく同じところから血を流しているという、不可解かつ不気味な現象を目の当たりにして。
同時に、それは少し以前から両親の中にあった「まさか」という思いが、否応なく肯定されてしまった瞬間でもあった。
知らない間にケガをしていたところが、いつも絵里のケガの箇所と重なっているという事実。
それを「ただの偶然」と片付けることができなくなったこのときから、絵里の家庭は崩れ始めていたのだろう。

父と母は絵里を畏怖したような目で見るようになり、それと同時によく言い争いをするようになった。
今思えば、“どちらのせいでおかしな子が生まれてきたのか”の責任の所在を求める思いが根底にあっての言い争いだったのだろう。

やがて両親は離婚した。
絵里は父親側に引き取られたが、それは娘への愛ゆえではなくおそらくは世間体ゆえであったのだろう。
その後、父娘らしい会話を父とした記憶は絵里にはないから。

元々仕事人間であった父は、ハウスキーパーに絵里を任せきりにしたまま、小学校の入学式やその他の行事にも来てはくれなかった。
お金だけはあり余るほど与えられたが、むしろそのことが絵里の心の暗闇を育てた。
絵里が本当にほしいものは何一つお金では買えなかったから。

心に闇が広がれば広がるほど、絵里のチカラは暴走を始めた。
そしてそのことによって、より一層絵里の心は暗黒に覆われ閉ざされてゆく。
ハウスキーパーは次々と変わり、学校でも友達ができるどころかむしろ気味悪がられた。
どこにいても、何をしていても絵里はいつも独りだった。

いつしか絵里はいつも媚びたような笑みを浮かべるようになる。
自分の心が闇に覆いつくされることを怖れて。
少しでも人から関心を向けられたくて。

それが悲劇を招くことになる。
いや、遅かれ早かれ迎えていた悲劇だったのかもしれない。

728 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:55:47.42 0
ある日、絵里はクラスの男子たちに校舎の裏へと引きずられていった。

「なんでいっつも体育をズル休みしてるんだよ」
「お前なんかヘンだよな」
「こいつんち離婚したらしいぞ」
「何とか言えよブスが」
乱暴に小突かれて様々な暴言を吐かれながらも、絵里は何も言わずにただいつもの笑いを顔に張り付かせて耐えていた。
その笑いこそが、クラスメイトたちの反感と嗜虐心を煽っていたことなど知る由もなく。

「いつもヘラヘラ笑って気持ち悪いんだよ!」

突き飛ばされ、倒れたところに大きな石があった。
石は鋭さを持っており、そこにもろにぶつかる形になった絵里の額からは、見る間に血があふれ出した。
そして、その場にいた者全ての額からも。

その後、どうなったのか絵里は知らない。
ショックが重なりすぎたせいか、心臓に巣食う病に急激に襲われた絵里は、そのまま病院に運ばれ日常に帰ることができなくなったから。

だが、自分がどのように見られているかは容易に想像がついた。
誰一人、見舞いには来てくれなかったから。
担任の先生も、クラスメイトも、そして父親も。


孤独だった。
ひたすらに孤独だった。

たまに起こる心臓の発作は息もできないくらい苦しかった。
でも、夜ごと締め付ける孤独はそれ以上に辛く苦しかった。
生きている意味が分からなくなるくらいに。


気がつくと絵里は病院の屋上に立っていた。

729 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:56:18.69 0
死ぬつもりだった。
屋上にいた先客の、今にも壊れそうな背中を見るまでは。

「何してんの?そんな思いつめた顔してぼーっと立っちゃって」

自分でも分からない衝動に突き動かされて、絵里はその背中に向かって言った。
小学校でしていたような偽りの笑顔ではなく、心からの笑顔で。
何故か、そうしなければその先客の少女が今にも掻き消えてしまいそうに儚く思えて・・・


「クレープいらないの?」

見舞いに来てくれたさゆみの顔をじっと眺めていたことに気付いた絵里は、慌てて意識を現在に引き戻した。

「あのさぁ。今日は血液検査があるから絶食しないといけないって確か絵里言ったよね?」
「あっ・・・そうだっけ?」
「ひどいよさゆ〜。生殺しだよ〜」
「大丈夫大丈夫。さゆが絵里の分まで食べてあげるから」
「もー!信じらんないんだけどー」

こんな会話ができる“友達”がいる幸せを改めて噛み締めながら、絵里は再び過去に思いを馳せる。

あの日あの場所でさゆみと出会い、絵里の心は救われた。
孤独という闇に塗りつぶされそうになっていた心を、さゆみはこの窓の外に降り注ぐ光のように明るく照らしてくれた。
あのとき、絵里はさゆみを助けなければという思いに駆られて声をかけた。
でも、救われたのはきっと自分の方だったのだ。

改めて思う。
自分は今、何て幸せなんだろう。


白い壁に反射する光に照らされた絵里のその偽りのない笑顔が、何よりも鮮明にその心を描き出していた。

730 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 22:56:49.04 0
以上ですm(_ _)m
おそらくすでにお察しの通り以前さゆの過去を書いた者です
(覚えていただいていればの話ですけど・・・)
あの話のSIDE絵里という感じで書きました

731 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 23:11:09.92 0
乙!!
なんだか凄く幸せな気持ちになった

732 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 23:12:29.56 0
>>730
乙! さゆ編と同じ作者さんかぁ通りで両方の話の結びつきがスムーズなわけだ
悲しい過去があるから今を生きる喜びを感じるっていうのが伝わってきたよ

733 :名無し募集中。。。:2008/04/24(木) 23:37:32.48 0
こんな風になればいいのにな

関係ないから〜関係ないから〜〜
http://gazoubbs.com/geinou/img/1201595317/83.gif

734 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:01:25.25 0
また一つ書けたからうpします
愛愛佳

735 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:02:25.54 0
額から汗が流れ、歩きながら、左手で顔を扇ぎ右手で制服の
ネクタイを緩める。
春にして気温二十度を超す暑い日だった。

誰かに尾行されている。
光井は喫茶リゾナントに向かう途中に、気配を察知した。
この未来は読めていなかった。

極力態度を変えないように努めて、細い道を歩く。
あと二つほど角を曲がれば店に辿り着く。
そして……一つ目の角を曲がった。

後をつけてきていたのは小柄な女だった。
自分に続いて角を曲がってきた瞬間、電柱に隠れていた光井は、
すかさず背後に回って外しておいたネクタイで相手の首を絞めた。
女はくぐもった声を漏らし、ネクタイを外そうと両手を首に
持っていったが、当然外すことは出来ない。
爪を立てて布の繊維に傷跡を残すだけだ。

736 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:04:03.93 0
もがいている女の首筋からふわっ、と香水の香りがして、
光井は内心驚いたが、なんとか動揺を律しようとする。
悟られぬよう声を張って

「いつまでも弱いもんやと思わんとき!」

そう忠告した直後、何と女が動いた!
首を絞められてなお機敏な動作で上体を捻って、肘打ちを
見舞う。肘は肋骨に入り、呼吸が一瞬止まった。
両手から力が抜けネクタイが解けた。
女は蹲る光井から飛びのいて距離を取り、首に絡まったままの
ネクタイをアスファルトに放り、咳き込んだ。
露呈した首には横一線に痣が残っている。
光井はやはり、すぐには立ち上がれず膝をついたままだ。

「光井!」

その時、高橋が女の背後から駆けつけた。
五十メートル以上離れていたが、視力がいいらしく
光井の姿や状況の判断が出来たようだ。

737 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:04:54.20 0
「待てやコラァ!」

光井が聞いた事もないようなドスの利いた声で女に突進した
高橋だったが、もともと距離があったせいで逃げられてしまう。
路地を曲がった女の後を追おうとしたリーダーを止める光井。

「追わんでええ!」
「何でや!」
「ええんです……首に跡残しましたから」
「跡……?」

よろりと立ち上がった光井がネクタイを拾って見せた。

「これや。そう簡単に消えんと思います」
「……光井がやったの?」
「はい」
「すげえな」
「はい。必要やと思ぉて、ダンベル上げ下げくらいはしてますよ」
「物騒な世の中やもんねえ」
「……半分くらいリーダーのせいやって自覚してはります?」

738 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:05:56.64 0
高橋は誤魔化すように笑った。
それでも、救いを求めればきちんと駆けつけてくれるリーダーの
ことは信頼している。

『誰か助けて、って強く思えば、あたしは必ず感応する』
『一人の時は、少しでも自分が勝てる望みなんて持っちゃ駄目。
 仲間を、呼びなさい』

高橋は自分達に何度もこの話をした。
それを光井は憶えていた。

実際、いざその場に立ち会ってみると、恐怖心が我が身を飲み
込むように襲い掛かってきた。
尾行に気づいて咄嗟にネクタイを緩めようとした時の手は、
震えていた。
電柱に隠れていた時は、うまく呼吸が出来なかった。
ただ……あの時の緊張感は、思考を極限まで冴え渡らせた。

一方で、心の中で念仏のように唱え続けていたのだ。



誰か助けて誰か助けて助けて誰か誰か誰か!!




739 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:07:21.11 0
「ありがとうございます。来てくれはって」
「おう、ちゃんと感じたからね。光井のSOS」

店の前に辿り着き、高橋がドアを開けた。
来客を知らせる鈴の音がチリリと鳴る。
コーヒー豆の芳醇な香りが漂ってきて、光井は思い出した。

「あの、あいつのことなんですけど」
「……女の人だったね」
「香水……のにおいがしたんです」
「香水?」
「はい。それも……」

最近どこかで嗅いだことがあるような……



とても、近くで……

740 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:08:08.75 0
以上です
ちょっとにおわせてみた

741 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:12:21.92 O
>>740
乙です!

もしかして光井戦闘編の作者さんですか?


なんか次に繋がりそうな話ですねw
気になります

742 :名無し募集中。。。:2008/04/25(金) 00:13:18.72 O
もっと読みたい・・・orz

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