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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第3話

1 :名無し募集中。。。:2008/04/27(日) 22:29:06.99 0
前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第2話
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1208587442/

まとめサイト
http://resonant.s336.xrea.com/cgi-bin/up/index.cgi

テンプレ>>2-11ぐらいまで

679 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:13:56.13 0
ある日の夜、高橋は街を巡回していた。
規模の大小に関わらず、犯罪は増加する一方だった。
悪の組織ダークネスの存在が犯罪を助長させているのだ。
一説ではダークネスが犯罪者に能力を与え、その行動を影から操っているという話もあった。

突如、甲高い女性の悲鳴が聞こえる。

高橋は精神を集中する。空間移動。

(ダークネスめ。あんた達の悪事も、ここまでやよ。)

高橋は声の聞こえた場所へ移動した。
そこで高橋が見たものは意外な光景だった。

そこには、3人の人間がいた。
血を流し倒れたまま動かない男。
犯人と同じ部位から血を流す、帽子を被った少女。
その近くに、長い黒髪に白い肌が印象的なもう一人の少女。
そしてその少女が使う、治癒の力。

(これは・・・)

高橋はその場にいる3人の精神を読み取り、瞬時に何が起こったかを頭の中で組み立てた。
夜の道を寄り添うようにして歩く二人の少女。
後ろから近づく、男。手にはナイフが握られている。
狙いは、黒髪の少女か。男は駆け出した。
二人が異変に気付き、男の方へ振り向く。
帽子の少女がかばうように男と少女の間に割って入った。
黒髪の少女が悲鳴をあげる。私が聞いた声だ。
その場に倒れる帽子の少女。だが。
同時に倒れる、男。
その男は、少女と全く同じ場所に、同じ傷が出来ていた。

680 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:14:31.77 0
「あなた達、大丈夫?怪我は・・・もう治ったみたいだけど」

「う、うん・・・あの、あなたいつからそこに?」

「私も、あなた達と同じように、不思議なチカラがあるの」

少女達二人は目を見合わせた。

「この男の狙いは道重さゆみさん、あなたのほうかしら」

黒髪の少女は、自分の名前を知らない女に呼ばれたことに少し驚く。

「そうそう、絵里、わたしをかばってくれたんだよね。ありがとう絵里」

「うへへ、さゆが治してくれると思ったよ」

そうだ、と道重さゆみは言った。

「この人も治してあげないと」

「えっ、ちょっとさゆ!?その男、さゆを殺そうとしたんだよ!私だってお腹刺されて、超痛かったんだから」

「うん、わかってる。絵里を傷つけたのはむかつくし絶対に許せない。だけど、このまま放っておいたら死んじゃうよ」

「もうさゆ!信じらんない!」

ごめんね絵里。道重さゆみはそう言いながら手のひらをかざすと、男の傷はすぐに塞がった。

高橋はその様子を、ただじっと見つめていた。

681 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:15:31.14 0
次の日、繁華街から少し離れた小さな喫茶店。
高橋は帽子を目深にかぶり、優雅に足を組みながら、食後のコーヒーを楽しんでいた。
先ほど駅の売店で購入してきた新聞に目を通す。

殺人未遂事件、現行犯逮捕。十数余の余罪判明。

あの夜の後、男は駆けつけた警察官にすぐに身柄を拘束された。
あの2人の少女。能力者。
昨日の事件にダークネスは関与していたのだろうか。
だとすればダークネスはまたあの子達を狙うだろうか。
いっそのこと、れいなのようにリゾナンターにスカウトするべきだったかもしれない。
道重さゆみという少女は、自分の命を狙った男の傷をためらうことなく治した。
そんな彼女なら、ダークネスと戦う私たちに力を貸してくれるかもしれない。
しかし高橋が彼女をスカウト出来なかった理由は、帽子を被った女の子のほうにあった。
彼女は心臓の病気を患っている。
それに。高橋は考えた。
絵里と呼ばれた少女には、道重さゆみの存在が必要だ。
どちらが欠けても、あの2人は生きていけないだろう。
そんな2人がリゾナンターとして、ダークネスと戦うにはリスクが大きすぎる。
永遠にどちらかを欠くことになるのかもしれないのだから。

しばらくはこのまま、ダークネスの動向を見るしかない。
後手に回ることしか出来ない自分の力の無さが、少し悔しかった。

「愛ちゃん、ウチら、いつまでここにいると?」

682 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:16:10.58 0
高橋は目の前の少女に話しかけられ、思考を中断した。
派手な服装に、ごてごてとしたアクセサリー。
一見悪趣味に思われそうなセンスだが、その少女にはそれがよく似合っていた。
斜めに被った帽子から、猫のような目が覗く。

「んー、そうやねぇ」

昨日の夜のことは、れいなに言うべきだろうか。れいなの力を信じていないわけではないが、
できるだけれいなを危険に巻き込みたく無い。

「愛ちゃん。れいな今日ちょっと行くとこあるけん、ダークネス出てきたら電話して」

「ん、わかった。気をつけてな」

れいなは店を出て行った。足取りがいつもより軽い。どこへ行くのだろう。
高橋は、必要時意外はチカラは使わない。
やはり、一人でなんとかしよう。
高橋はコーヒーを飲んでから、小さくつぶやく。

「こういう喫茶店がいいやな」

683 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:17:08.08 0
れいなは、高橋と別れ、ある病院へ向かっていた。
数年前、れいなはその病院に入院していたことがあった。
そこでれいなは、2人の少女達と出会った。
一人は、心臓の病気で入院中の少女。そんな彼女を毎日見舞いにくる、少女。
当時のれいなは、そんな2人と会話をするのが楽しみだった。
別れ際に2人に言われたことを思い出す。
れいなの強さは、人を傷つけるためのものじゃない、人を守るためのものだよ、と。
彼女達とは、連絡先を教えずに別れてしまった。だから向こうから連絡がくることはない。
れいながここに立ち寄らない限り。来ようと思えば、いつでも来ることは出来た。
でも自分のせいで、2人に迷惑をかけてしまったし、合わせる顔が無かった。
しかし今はリゾナンターとして、人を守るために戦っている。
そのことを2人に伝えたくて、れいなは再び病院を訪ねた。

「あれ、れいな!?」

院内に入り、絵里の病室はどこか確認していると、突然後ろから声を掛けられた。

684 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:18:48.99 0
「おう、さゆ!久しぶり!」
「超久しぶりじゃない!?元気だった?」
「当たり前っちゃ!連絡先、聞かずに別れてしまったけん、少し寂しかったとよ」
「さゆみも、れいなに会えなくてすごい寂しかったよー」
「さゆ、棒読みやけん!ひどいなぁ。そういえば、絵里は?元気にしてると?」
「うん、それがね・・・」

先ほどまで明るかったさゆの表情が、急に暗くなった。

「なん、喧嘩でもしたとかいな?」
「絵里、死のうとしたの」
「!?死のうとって・・・絵里が?嘘やろ?」
「いいえ、本当なの。理由は、話してくれなかったけど・・・」
「それで、絵里は大丈夫とかいな」
「うん・・・傷は私が治したの。そうそう、私、簡単なケガなら治せるの。れいなには言ってなかったけど。
でもそのときの傷が、絵里の妹にも移っちゃって。ああ、移るっていうか、絵里にも不思議なチカラがあって」

さゆみは自分と絵里の能力のことを簡単に説明した。

「傷の共有。自分の妹に、か。それでさらに沈んでるとかいな」
「そうなの。でも、わたしが治してあげられるのは体の傷だけ。絵里の妹は、自分がお姉ちゃんにひどいことを言っちゃったせいだって。
でも、あの絵里が自殺だなんて。絵里とずっと一緒にいたのに、何1つ気付いてあげられなかった」

685 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:19:53.61 0
絵里は、生まれつき重度の心臓病だった。
両親は、彼女を憐れみ、彼女の前で何度も涙を流した。
私達のせいで。絵里、ごめんなさい。と。
そんな両親を見て、絵里は一層悲しくなった。
大丈夫。絵里は大丈夫だから。
幼いながら、両親にそう声をかけた。
そんな絵里の姿を見て、両親は、また涙を流すのだった。

私のせいで、両親を苦しませている。私が、生まれたせいで。私が、生きているせいで。
そんな気持ちが、いつも絵里の心を蝕んでいた。

そんな絵里に、やがて妹ができた。両親が喜ぶ姿を見て、絵里はとても嬉しかった。
しかし同時に、両親の心が自分から離れていくのを感じていた。両親の期待は、妹に注がれていったのだ。

今日、妹が一人で病室に来た。
妹のことは羨ましかったが、決して嫌いにはなれなかった。むしろこの可愛い妹をもつ姉として、少し誇らしかった。
でも、今日はなぜか些細なことで喧嘩をしてしまった。どちらともなく、互いに対して攻撃的になっていた。
お姉ちゃんなんか、いなくなってしまえばいいのに。妹は、確かにそう言った。

入院を続け、家計は厳しくなっていた。
妹は希望していた私立の学校への進学を諦めたと聞いていた。
両親は妹に、ずっと我慢をさせていたのだろう。妹の気持ちもわかる。
入院を続ける私が居るせいで好きな服も、お菓子も玩具も、買ってもらえなかったのだから。
絵里が死んでしまえば、家族三人で幸せに暮らしていける。

絵里は、近くにあった果物ナイフで手首を切った。
本当に死ぬつもりだったのか、よく分からない。
目を覚ますと、両親から妹も入院したことを聞かされた。
絵里と同じ、手首の傷によって。

686 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:23:39.77 0
その日の夜、高橋は病院の屋上にいた。ダークネスの狙いが彼女達であるならば、必ず姿を現す。
高橋はそう考えていた。だが・・・

屋上のドアが開く音がした。扉から出てきたのは、昨晩出会った少女、絵里だった。
高橋はそちらを見ることもなく、理解する。
その少女は誰もいるはずの無い屋上に人がいたことに驚いていた。カギは今開けたのだから、と。
だが絵里は高橋の姿を見て、合点がいったようだった。

「あなたも不思議なチカラがあるって、そう言っていましたね。昨日と同じように、そのチカラでここへ?」」

そう話しかけられ、高橋は後ろを振り返る。

「そう。でもそれだけじゃない。私は、人の心が読める。もちろん、あなたの心も」

心を読める。私の心を。じゃあもう、分かっているんですね。絵里はそう言った。

「わたしはもう、生きる価値がないんです。いいえ、初めからそうでした。親にも、妹にも、
みんなに迷惑を掛けて。さゆだって、本当は私なんかいなければ、もっと好きなことができるんだから」
「だから死ぬというの?妹にまた怪我を負わせることになっても?」
「妹のことは大丈夫、さゆに近くにいてもらっています。あなたも、離れたほうがいいですよ。私のチカラ、どこまで及ぶか
分からないですから」
「私は死なないわ。ダークネスを討つまでは。あなたも死なない。あなたのお友達が、助けに来てくれる」

友達。彼女の心に、道重さゆみの姿が浮かぶ。

「あなたの大好きな、道重さゆみ。あなたが死んだら、彼女は・・・」

高橋の言葉を遮るように、絵里は言った。

「わかりません。わたしは、心を読んだりできませんから」

687 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:24:37.40 0
絵里はそう言って鞄からカミソリを取り出した。
高橋の心に、絵里の深い悲しみが流れ込む。同時に、絵里が手首を切るイメージも。

手荒い真似はしたくなかったが、仕方ない。
高橋はすぐに絵里の背後をとり、後ろから腕を掴む。
だが突然口内に痛みが広がる。
舌をかんだのか。絵里にとっても咄嗟の行動だったのだろう。
高橋は彼女がそうすることを読み切れず、予想外の痛みに手を離してしまった。

絵里は距離をとった。再び手首にカミソリをあてがい、目を瞑る。

高橋は痛みを堪えながら、思考する。
この少女は気付いていない。
親の、妹の、道重さゆみの、そして自分の、本当の気持ちに。
不安なのだ、孤独になることが。孤独から逃れるために、死を選ぼうとしている。
教えてあげたい。あなたは、孤独ではないよ。
でもそれを今の彼女に教えられるのは、私ではない。
この世界でただ一人。道重さゆみだけだ。
高橋は再び、絵里に向かって飛びついた。

688 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:25:09.26 0
絵里は目を開けた。体中が鮮血で染まっている。そりゃそうだ、と思いながら。
自分で、切り刻んだのだ。手首だけではない。自分の腕を、顔を、体を。

目の前にいる女の体も、同じだった。
その女は地面に倒れたまま、動かなくなっていた。

絵里は、悲鳴をあげた。
目の前にいる女の人、自分はこの人に恨みがあるわけでもない。決して殺したいわけじゃない。
自分が死にたいだけだ。自分を殺したいのだ。
妹の時だってそうだ。妹を恨んでたわけじゃない。
こんな自分にも、あんなに可愛い妹がいる。妹を殺したいなんて思うものか。
恨んでいたわけじゃない。妹を。この世界を。
それを証明するために、ここへ来た。
誰も傷つけることなく、死ぬ。
それがこの世界を恨んでいないことの証明になる。
だが自分の気持ちとは関係なく、目の前の女にも傷が移っていく。
違う。私は誰も恨んでなんかいない。
絵里は首筋にカミソリをあてた。

689 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:25:58.49 0
道重さゆみは、病院の屋上を目指し、階段を駆け上がった。
絵里から受け取ったメールを思い出す。

『さゆ、今までありがとう。妹をよろしくね』

屋上への扉をあけると、すぐ目に入ったのは、以前私達に会いにきた女の人。
高橋愛という能力者。れいながそう言っていた。
絵里を止めるつもりだったのか。だが絵里のチカラに巻き込まれたのだろう。
そこから少し離れた位置に、絵里の姿があった。

「絵里!」

さゆみはすぐに絵里の下へ駆け寄った。体中に痛々しいほどの傷ができていた。
口には血が溜まり、端からそれを流している。首には大きな傷があった。
さゆみは自分の心臓をえぐられたような感覚を覚えた。

「絵里!しっかりして!」

だが当然、返事が返ってくることはない。
さゆみは絵里の傷口に手をかざす。治癒能力。だが、何も起こらない。

「そんな・・・どうして!何で治せないの!絵里を助けたいのに!」

何度試しても同じことだった。
能力が足りていないわけではない。
能力自体が湧き上がってこないのだ。何かに、抑え付けられているように。

690 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:27:17.67 0
「お困りのようですね」

さゆみが気付かない間に、屋上に一人、女がきていた。白衣に身を包み、眼鏡をかけている。その姿は一瞬医者のようだが。
騒ぎを聞きつけたのか、それにしては、何か見下しているような、勝ち誇ったような表情を浮かべている。
勘のいいさゆみには、わかった。この女がれいなの言っていたダークネスの仲間なのだと。

「この病院周囲一帯での能力の使用を制限しました。道重さゆみさん、
あなたの能力の解析はすでに終わっています。能力の仕組みがわかれば、簡単なことです。
昨晩殺せていれば、それすら必要なかったんですけどね。
しかしいいデータがとれました。あとはその女を回収するだけです」

ゆっくりと歩きながら、女は話し始めた。

「それにしても亀井絵里。他者と傷を共有する能力。厄介です。だって、殺したら自分も死んでしまうんですから。
でもすばらしい能力です。実験適合成体、i914を道連れにするなんて。
ああ失礼しました、今は高橋愛という名前でしたね」

高橋は、薄れていく意識の中で、女の話を聞いていた。
姿を現した女。彼女もまた、かつての仲間だ。
高橋と同時期にアサ=ヤンに入った。彼女は戦闘に関しての能力は持っていなく、のんびり屋で、
おおよそどこにでもいるような普通の少女だった。少なくとも高橋は始めそんな印象を持っていた。
だが、彼女は努力家で、人一倍頭がいい。能力に対する理解と知識は、後にも先にも並ぶ者がいない。
しかし彼女は裏切り、ダークネスの研究機関に所属したと聞いた。そんな彼女がここに現れるとは。
裏切り。裏切りか。
ふと、もう一人、同期の新垣のことを思い出した。
彼女はアサ=ヤンの存在を誰よりも愛していた。彼女がアサ=ヤンを裏切ることは絶対にないだろう。
彼女は今なにをしているのだろう。あの戦いに生き残れたのだろうか。
自分がリゾナンターとして、再びダークネスと戦うと聞いたら、力を貸してくれるだろうか。
ああ、そうだ。れいなに電話しないと。ダークネス、出てきたし。でももう手が動かんわ。ごめん、れいな。

691 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:28:11.39 0
女はそう言うと、屋上に次々と、この病院の患者達が現れた。
よく病院に来るさゆみには、知っている顔もあった。だが目に意識が宿っていない。この女に操られているのか。

「この病院の患者さん達です。この人たちはもう、助からない。死ぬことが決まっている人たち。
そんな人たちに最後くらいいい思いをさせてあげても、罰は当たらないでしょう」

人を殺す、快感をね。そう言い放ち、はじめてその女が下卑た表情を浮かべた。これが、この女の本性か。

道重さゆみは、女の話を黙って聞いていた。
悔しさと怒りが体中から湧き上がっていたが、その心に支配されることのない、冷静な自分がいた。
冷静に、状況を判断する。絵里も高橋愛という女の人も、もう助からない。
血を流しすぎている。流れた血までは治せない。
さゆみは、近づいてくる男達に目を向けた。10人ほどか。手にはそれぞれ武器を持っている。
自分ももう、助からない。
それに絵里のいない世界なんて耐えられない。ここで、死のう。
さゆみが死を受け入れようとした瞬間、ふとれいなの顔が浮かんだ。
彼女なら、こんな風に諦めない。こんなとき、最後まであがくだろう。
絵里はまだ死んでない。なんとかして絵里を助けなきゃ。
自分の命を懸けてでも。
さゆみは、立ち上がる。さゆみが、絵里を守る。

さゆみは、男達の群れに突進した。

だが非力なさゆみの力では、どうすることもできず、すぐに抑え付けられた。

ああ、体育の授業を真面目にやっておけばよかった。
そんなことを思いながら、血だらけになった絵里を見る。
ごめんね、絵里、助けてあげられなかった。
ずっと近くにいたのに、絵里の感じていた孤独に気付いてあげられなかった。
絵里、最後まで、一緒だよ。

692 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:28:57.22 0
そのとき、操られた男達の動きが止まった。
彼らの視線が、鉄柵の上に立つ少女に注がれていることに気付く。

「れいな!」

「さゆを離せ!」

そこには、れいながいた。

れいなは素早く、さゆみのいるほうへ走り寄り、男達のみぞおちへ的確に打撃を
入れた。男達はすべて、その場で意識を失った。
れいなは、血まみれになった高橋と絵里の姿を見る。

「よくも、れいなの大切な仲間を!」

「くっ、この女!」

白衣を着た女は明らかに動揺した。
なぜ田中れいながここに?高橋愛と手を組んだのか?
いずれにせよ、この女の能力の解析はまだ、終わっていない。ヘケートが、しくじったせいだ。
私の作戦は完璧だったのに。このままでは、まずい。

「あんたがダークネスの科学者っちゃね!もう絶対許さんと!」

「ち、違います!私はダークネスのドクターマルシェなんかじゃありませんよ!」

そう言って女は、地面に煙幕を投げつけた。

693 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:29:35.82 0
あの女が去ってから、さゆみの力は戻っていた。
さゆみは、高橋と絵里に、治癒を続けた。傷はすでに塞がっている。
だが、二人とも意識が戻らない。

「絵里!お願い、目を覚まして!」

一緒にケーキ屋さん、やろうねって言ってたじゃない。さゆみはそう呟いた。
れいなは、そんなさゆを見つめた。
自分の力じゃ、誰も助けられないのか。
愛ちゃんが、自分を戦わせようとしていないことは分かっていた。
自分の力が足りないせいだ。

「さゆ、頑張れ!」

れいなは、さゆみの手にそっと触れた。愛ちゃんは、れいなにも力があると言っていた。
そのせいで、ダークネスに狙われているのだと。
自分では全く分からないが、そんな力があるのなら。愛ちゃんと、絵里を助けたい。
その力を、さゆに託した。

さゆみとれいなの、二人を助けたいと云う想いが、共鳴する。

やがて治癒の光は、病院全体を包んでいった。

694 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:31:56.13 0
絵里は目を覚ました。そこはいつもと変わらない、病室だった。
体中に出来たはずの傷は、全て消えていた。私は死んだのではないのか。
かすかに、昨夜のことを思い出す。
そっか。さゆが、助けてくれたんだ。

病室のドアが開いた。

「絵里!気がついた!?」
「あっ、さゆ・・・」

さゆみは絵里に抱きついた。少し涙目になっていた。その腕は温かい。

「ごめん、さゆ。・・・さゆが、また助けてくれたんだね」
「もう、絵里!心配ばかりかけて!絵里が死んじゃったら、私は・・・」

そういってさゆみは泣き出した。そんな姿を見て、絵里はもう一度、ごめん、と言った。
死ななくて良かった。さゆにまた会えて本当にうれしい。

「おーい!絵里ー!」

またドアが開いた。今度は勢いよく。

「あれ、まさかれいな!?いつから来てたの!?」
「もう。れいなのことは覚えとらんのかいな。さゆはすぐ敵に捕まってしまったけん、れいなが助けたとよ」
「そうなの。れいなすごいかっこよかった。さゆみも、いくつか試したい技があったんだけど」
「それって、アニメのやろ?実際通用しないって、そんなの。まあ傷を治したのはさゆやけどね。気合入れすぎて
入院してた人全員治してしまったとよ」
「すごいなぁ、さゆは」
「絵里の心臓は治らんかったけどねぇ」

695 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 00:35:57.70 0
2人が来て病室が急に騒がしくなった。またドアが開く。高橋愛。
れいなと一緒に、悪の組織ダークネスと戦っていることを聞いた。

「あ!高橋さん!あの・・・昨日は本当にごめんなさい!」
絵里は深々と頭を下げた。

高橋はそんな絵里の様子を見て、微笑んだ。

「もう絶対あんなことしたら駄目だよ。絵里には、さゆとれいながいるんだから」
あなたは孤独じゃない。そう言いかけて、高橋は口をつぐんだ。もう言われなくても、分かっているだろう。
絵里はすっかり元気を取り戻していた。

「あの。高橋さん。れいなから話は聞きました。悪の組織ダークネスと、高橋さん達リゾナンターのこと。
高橋さんには迷惑をかけちゃったし。れいなも戦っていると聞いて。私も一緒に戦わせてください」
「ちょっと、絵里!?絵里の体じゃ・・・」
「大丈夫だって。あぶなくなったら、さゆがまた助けてくれればいいじゃん」

絵里がそう言ってくれたことは嬉しかった。高橋は今までずっと一人で戦ってきたのだから。
しかし、2人が最前線で戦うにはやはりリスクが大きすぎる。だがダークネスが絵里とれいなの力を狙っていることは明らかだ。

「わかった。2人とも今日からリゾナンターよ。それじゃ早速任務を与えるわね。れいなも、聞いて」

高橋は、考えていたことを言うことにした。
この2人を戦闘に参加させたくはない。もちろん、れいなも。しかしまたダークネスは命を狙ってくるだろう。
みんなが、戦うことを目的とせずに、集まれるような場所。それが結果的にみんなを守ることになる。

「2人の夢って、2人でケーキ屋さんを開くことでしょ。まあケーキ屋さんじゃないんだけど、似たようなものっていうか。
まあそのこととは、あんまり関係ないんだけど。私、カフェをこの近くにオープンしたの。
誰でも気軽に入れて、辛いことや悲しいことがあったときにも、そのときだけは忘れてくつろげるような、そんな空間にしたいの。
でも人手が足りなくて。3人とも、たまにでいいから、来て手伝ってほしいんだけど」

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