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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第3話
- 1 :名無し募集中。。。:2008/04/27(日) 22:29:06.99 0
- 前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第2話
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1208587442/
まとめサイト
http://resonant.s336.xrea.com/cgi-bin/up/index.cgi
テンプレ>>2-11ぐらいまで
- 705 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 02:43:04.37 O
- おやすみリゾナンター
- 706 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 02:49:37.36 0
- お、ついにラブマシーンかw
- 707 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:30:58.30 0
- ちょっとおふざけ書きました
気に障る方がいらっしゃいましたら申し訳ございません
- 708 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:31:53.48 0
- 司令室にアラームが鳴り響く
「UFA本部から入電です。麻布に怪獣が出現! 幼稚園の送迎バスを襲っているとのことです」
コンソールに座っていた管制担当の光井隊員(通称:リゾナントパープル)が叫ぶ
「リゾナンターただちに発進!」
「「はっ!」」
司令室にいたリゾナンターのメンバーたちが一斉に部屋を飛び出す
いま命令を出したのはリゾナントイエローこと隊長の高橋愛
ここはUFA直属の戦闘集団モーニング戦隊リゾナンターの司令基地であった
ちなみにUFAとは『不従順な逃亡者を攻撃する部隊(Unbiddable Fugitvie Attacker)』の略称であり
本来の居場所からはみ出した悲しき生命体の殲滅を行うために設立された組織である
ワンダバダバダバ♪ ワンダバダバダバ♪
効果音と共に司令基地の庭が大きく口を開き戦闘機と爆撃機が、ガレージから戦車が、
そしてプールからは巨大ロボが飛び出て行った
「ブルーファイター、天洋、ガキカメタンク、レインボーピンク全機発進しました」
パープルの声が戦況を伝える
「まもなく現場の様子が映ります。出ました! あれは・・・ 怪獣アイボーンです!
たしか2年前に地球から出て行ったはずなのに、なぜ今になって姿を現したんでしょう?」
モニタをじっと見つめるイエローが鋭く分析した
「見てみい、成獣になっとる。これは手強い。全機突入用意!」
- 709 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:32:55.00 0
-
「小春いっきまーす!」
小春隊員(リゾナントレッド)が操る全身ピンク色の巨大2足歩行ロボットがアイボーンに飛びかかる。
火気管制担当の道重隊員(リゾナントピンク)が悲鳴を上げる
「無理無理無理無理、やなのやなの、あばばばばば」
「ちょっとぉ〜道重さん。ちゃんと攻撃してくださいよぉ〜」
「そ、そんなこと言ったって、小春ちゃんの操縦がぁぁぁ」
司令室に映るモニタの中でピンクの首がぐりんぐりん回っていた
「なにをやっているんだ、こいつらは」
イエロー隊長が頭を抱えている
「あっ! アイボーンが放射能もとい紫煙を吐いています。
どうやらレインボーピンクが副流煙被害で苦しんでいる模様」
「援護の方はどうなっている? 後方支援のガキカメタンクは?」
「それが・・・その・・・」
「はぁ? 後ろ向きに攻撃してるやと? それで攻撃は?」
「当然当たっていません」
なぜかパープルが申し訳なさそうに報告する
「天洋はどうした?」
「リンリンいえグリーンが祖国から秘密兵器を取り寄せたと言っていましたが・・・
いました。アイボーンの真上です」
- 710 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:34:07.87 0
-
爆撃機天洋の操縦席に座るのは二人の中国人
ジュンジュン(リゾナントインディゴ)とリンリン(リゾナントグリーン)だ
「バッチリデース。覚悟スルアルネ。スイッチオン!」
グリーンがボタンを押すと爆撃機の腹から霧状の液体が散布された
その状況をモニタリングしているパープルが叫ぶ
「メタミドホスです! 天洋はメタミドホスを散布している模様!」
「害虫ニハコレガ一番アルネ」「ソッカー」
スピーカーから流れる音声を聞きながらイエロー隊長がつぶやいた
「害虫じゃない、怪獣だ。パープル、あとで教えておいてくれ」
「とりあえず攻撃は効いているようですが・・・ 住人への健康被害が心配されます」
「結局あてになるのはれいな、いやリゾナントブルーのブルーファイターだけか」
「ですが戦闘機一機だけでは火力不足は否めません」
田中隊員(リゾナントグリーン)の乗る戦闘機がヒットアンドアウェイを繰り返して攻撃を続けているが
大して効いているようには見えなかった
「いったいどうしたらいいんだ。ん、なんだアレは!?」
- 711 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:36:34.13 0
-
新たなキャラクターの登場に全員が驚く
「あれはM22星雲のノノール星人です!」
「どういうことだ!? あいつは1年前に太陽に飛び込んで自滅したはず! なんで生きている?」
「それがノノール星人が飛び込んで以降、むしろ太陽の活動が活発になっているようです。
地球上のネットワークに影響を出しているのもそれが原因かと」
「なんてやつだ、太陽に滅ぼされるどころか、太陽に勢いをつけるとは。
でなぜ地球に戻ってくる!?」
「アイボーンの活動に触発されたのではないかと、でも詳しくは解りません」
巨大怪獣が2体。東京の街を破壊の限りを尽くす。
「これ以上打つ手はないのか・・・」
イエロー隊長があきらめかけた時だった
パープルからの報告が入る
「新たな機影を発見!ものすごい速さで近づいてきます。これは・・・」
空を見上げる全員に希望が満ちる
「ウルトラマン・ノア!!」
- 712 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:37:42.41 0
-
「なにを書いてるの?」
わたしが鉛筆をくわえて途方に暮れていると背後から高橋さんが覗き込んできた。
「えっ!? いえ、なんでもないんです!」
わたしはとっさにノートを隠そうとしたけど間に合わなかった。
ノートを奪い取られてしまう。
「ちょっと、やめてくださいよー」
わたしはノートを取り返そうとしたけれど逃げられてしまう。
「照れんでもいいじゃん。みっつぃ上手に書けてるよ。で? 続きは?」
それはわたしが一番聞きたかった。
だっていくら予知してもこの先を見ることは出来ないのだから・・・
(完)
- 713 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 03:38:30.03 0
- それではおやすみなさいませ
- 714 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 04:48:10.30 0
- 正統派特撮キタ━━(゚∀゚)━━ !!
なんかこれはこれですごく好きだwww
- 715 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 05:26:32.94 0
- >「見てみい、成獣になっとる。これは手強い。全機突入用意!」
>「どういうことだ!? あいつは1年前に太陽に飛び込んで自滅したはず! なんで生きている?」
ワロタw
- 716 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 05:37:57.11 0
- こういうのもイイネ!
みんな器用に書くね
感心する
- 717 :名無し募集中。。。 :2008/05/03(土) 06:59:24.24 0
- 朝から笑わせてもらったw
- 718 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 07:09:32.80 0
- 朝から腹痛いwww
メタミドホスはダメだろwww
ほんと懐深いなあこのスレ
- 719 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 07:24:03.31 0
- 一番最初から見てたらもう朝かww
よしことガキさんのとこは涙出てきた
これからライブ見に行くのが何か不思議な感じ
作者さんホント乙
- 720 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 07:26:33.76 0
- 次回予告
ここは喫茶リゾナント 多くの出会いが待ち受ける不思議なお店
今日も店長の愛は仕事とメンバーのおもり(?)で大忙し!!
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/14/toro14674.jpg
「フフ 来る度に人が増えて にぎやかになっていくわね」と常連客の保田
それに愛はしみじみ答える
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17097.jpg
「思えば最初は1人で始めた喫茶店 ずいぶん変わったなあ・・」
・・・とそこへ
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17096.jpg
「愛ちゃん何考えてんの〜?サブリーダーのあたしに隠し事なんて〜・・」
「新垣さんはほっときましょうよー♪そんで!小春におしえてくださ〜い☆」
「ムッカー!ピキピキー 何よーあんたには教えない約束になってんのww」
「あっちょっと2人けんかしないで・・」
「何しとーとみんなー!」
「エッ!さゆみが一番かわいいって言うはなしですか!?」
「ふーんだ!絵里の方がかわいいもん!!」
「リンリンもバッチリかわいいデーース!」
「バナナください・・・」
「じゃあ!愛佳が通訳しますね・・えーーーと」
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/14/toro14674.jpg
「あーーもーーうッ! うるさいわね!! 静かにしなさーい!!!(怒)×9」
次回かなしみ戦隊リゾナンター「女子かしまし物語」
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17096.jpg
「はwwwwwwwい」
- 721 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 07:36:12.67 0
- 乙w
これで時間を越えるとドラえもんのオシシ仮面の話になるねw
- 722 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 08:36:42.29 0
- 作者さんたち乙!!
6期の人、普段から小説とか文章書きなれてる人のような気がする
上手い言葉が思いつかないんだけど、凄く感動した・・・
正統派戦隊ものもいいねー
このロボットはピンチになると合体するなw
朝から爆笑しました
次回予告の人も乙
毎度ながらうまいなー と尊敬します
- 723 :629:2008/05/03(土) 08:37:34.81 0
- いろんなストーリーがあるけど最終的に夢だったってオチだけはやめてくれ
と釘を刺してしまえw
- 724 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 08:39:28.37 0
- オシシ仮面てどんな話だっけ
- 725 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:06:57.38 0
- 連載漫画の続きが早く読みたくてタイムマシンを使うとどうなるかというお話
- 726 :名無し募集中。。。 :2008/05/03(土) 09:08:31.11 0
- 連載に行き詰った漫画家が次の発売号を買ってきてもらって
それを写して原稿をあげるのを繰り返す話
- 727 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:27:46.55 0
- 先にUPされた方とは別にゲーム化してみます
まだプロローグのみですが よろしければ
パス: rb
http://www4.uploader.jp/dl/reinachan/reinachan_uljp00262.exe.html
- 728 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:40:50.90 0
- 球技大会じゃなくて障害物競走にすればエンディングにつながるのにw
- 729 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:41:33.41 0
- >>727
otu
- 730 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:43:23.41 0
- >>728
誤爆したorz
- 731 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 09:53:09.48 0
- >>727
「RGSS200J.dllが見つかりません」が出たらここからランタイムインストールね
ttp://www.famitsu.com/freegame/rtp/vx_rtp.html
- 732 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 10:20:34.28 0
- >>727
シャーペんの人か
いいよいいよー
- 733 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 11:30:44.04 0
- 毎夜毎夜厚みがあるなー
- 734 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 11:36:45.87 0
- >>727ってどうやるんでしょうか?
デスクトップにダウンロードして実行押したけど何もならないんですけど
vistaだからかな?
- 735 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 11:39:19.42 0
- ダウンロードしたフォルダの中の馬のマークのgameってのをクリックすると
「RGSS200j.dllが見つかりませんでした」ってなる・・
- 736 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 11:40:00.43 0
- http://jp.youtube.com/watch?v=KJWVpkfZCq0
- 737 :名無し募集中。。。 :2008/05/03(土) 11:46:33.20 0
- >>735
>>731
さすがにちょっと前のレスを読もうよ
- 738 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 12:22:41.87 0
- >>734
ちょっとそのまま待ってみる
- 739 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 12:43:46.97 0
- >>737
あーすんません
- 740 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 13:02:58.01 0
- >>720
保田どうしても笑ってしまうww
- 741 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 13:27:49.94 0
- シングルVが売ってない@福岡
- 742 :名無し募集中。。。 :2008/05/03(土) 13:31:23.44 0
- amazon使え
- 743 :名無し募集中。。。 :2008/05/03(土) 13:32:57.94 0
- 中野から帰ってくるまでに新作来てるとうれしい
- 744 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 14:29:08.56 0
- 「リゾナントしました」って名言だな
- 745 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 14:29:20.10 0
- おれも中野行くから無理
- 746 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 15:36:08.37 0
- そうか作者さん何人か中野か
- 747 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 15:36:21.94 O
- ほ
- 748 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:27:44.52 0
- お話あげていいかな?
- 749 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:34:03.86 0
- どうぞどうぞ
- 750 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:39:54.86 0
-
「もう、いやや!!離して、里沙ちゃん!!」
はい、わかりました、と、応じる訳にはいかない。
今離せば、もうこの身体を支える資格がなくなると、わかった。
ねぇ、愛ちゃん。
貴方は誰のどんな過去も包んだじゃない。
私の、この裏切りも。過去にしてくれたじゃない。
腕の中で暴れる愛ちゃんを抑えながら、私は先ほどまでこの場で起こったことを
再び思い返した。
- 751 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:40:24.79 0
- 今日は珍しく敵襲が二度。
皆を返したところだったから、私と愛ちゃん、二人で出撃した。
田中っちも行くってうるさかったけど、敵の反応は少数で、少し負傷していたから、愛ちゃんがそれを許さなかった。
その程度の簡単な、任務。廃工場で5体程と対峙した。
「あああああっ!!!!!!!」
しかし愛ちゃんは、5体目の敵に、軽い術を食らった。
本当に、すぐに解けるような、あるいは、かからないような催眠術。
それなのに私がそれを倒して振り返ると、愛ちゃんは大粒の汗を流しながらもがき苦しんでいる。
「やっと、上手くいったよ。」
不意に、冷たい声色。―氷の魔女、ミティ―
愛ちゃんを裏切った、元・リゾナンター。罠だった、と気付いた時にはすでに遅かった。
「久しぶりじゃないの、ガキんちょ。
今度はそっちにつくんだってね?いろいろふらふらと忙しいよね、あんたも」
「あんたが、あんたが愛ちゃんを!?」
彼女の声など構っていられない。こんなに苦しむ愛ちゃんは初めて見た。
自分が闘いに向いた能力者とは到底いえない。でも、彼女との闘いは避けられない…
やらなきゃ…
- 752 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:41:13.30 0
-
「よくもまあ、愛ちゃんはガキんちょのこと許せたもんだよね。」
美貴、そんけーするなー裏切り者を許すなんて あ、美貴も裏切り者なんだけどねー
「愛ちゃんに何をしたの?」
ケラケラと笑う魔女に私は走り出した。袖口から飛び出すピアノ線。
非力な私でも操れる、暗殺用の武器。
心の操作と同様、この程度の物質なら、私は操作できた。体でなく、脳で。
背後では、愛ちゃんの呻き声が聞こえる。でも焦っては、いけない。
「うんうん、ガキんちょ、強くなってるねー。感心感心。
真面目だったもんねーあんたって、むかしっから。」
私の渾身の攻撃網を彼女は事も無げに掻い潜る。
その様はまるで、ピアノ線の方が、彼女を避けるように、無駄がない。
- 753 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:42:00.98 0
- 「んー。美貴のことばっか見てて良いの?」
あんたのお姫様、動かなくなってるよ?
天井を破壊して魔女の視界を一時的に遮り、愛ちゃんの元へ。
ミティ相手では、愛ちゃんを気にしながら闘えなかったことを私は悔やんだ。
愛ちゃんは、ピクリとも動かない。うそ、うそうそ…
慌てて頬に手を添えたが、思わず、手を離してしまった。
冷たい。尋常じゃなく、冷たい。
もう一度触れようとしたその手を、ミティに掴まれた。
「タイムアップだよ、ガキさん。今度は美貴が愛ちゃんと仲良くする番。」
地中から氷柱が伸び、私の体を天空に攫った。
ぐはっ…口から、赤いものが零れた。天井と柱に挟まれ、身動きが取れない。
ぐりぐりと押し付けられ、身体が軋む。
霞む視界の中、愛ちゃんの身体から、湯気が出ているのが見える。
「ガキさんはさー、愛ちゃんに許して貰ったわけじゃない?
じゃあ、さ、愛ちゃんに何があっても、許せるわけ?」
反論も出来ないほど、強く押される体。きりきりと柱を捻りながら、魔女は問い続ける。
「最後まで、仲間ごっこ続けれる?うん、時間だわ、ガキさん。楽しいショーのね。」
急に柱が砕かれ、私は床に叩きつけられた。
声に出せない痛み。それよりも、愛ちゃんは…どうなったのか。
- 754 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:43:32.40 0
- 氷が割れたときに出た、霧の中、恐ろしく背筋を伸ばして立つ、愛ちゃんの後ろ姿が見える。
どういう、こと?術が…解けたの?
「愛ちゃんにね、魔法をかけたの。子どもの心を取り戻す魔法」
思い当たる節は、下級催眠術、幼時返り…
あの時のあれは、やはり催眠術だったのだ…
「なんで、あーし、ここにおるの?」
普段時折使うロリ声が、常時使われることに違和感を覚えた。
愛ちゃんは催眠術にかかりやすい体質だと、小春が笑いながら言っていたのを思い出す。
催眠術を解こうにも、体が動かない。私の力なら簡単に解けるはずなのに。痛みがそれを邪魔する
ミティはそんな私を一瞥すると、愛ちゃんの横に立った。
「お名前は?」
ミティの問いかけに答えた愛ちゃんの言葉に、私は頭の中が真っ白になった。
「あい。…あい、きゅーいちよん。おねーちゃんが新しい、けんきゅーいんさん?」
- 755 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:44:08.86 0
-
7年前、何度も読み返した資料を思い出す。
資料と言っても、ほんの数行。
i914。22年前、研究班が作り出した、複合能力者。
4歳で謎の失踪を遂げた時、彼女の研究データのほとんどは消失したが、
唯一残った日誌にこう書かれていた。
『すべてが なくなった』
この7年間、綿密に調査したが、その言葉の意味はわからなかった。
闇雲に使うことを望まない、精神感応。
使用時に謎の付加を伴う、瞬間移動。
力は、これだけ。
孤独の意味を知る者で、誰にでも優しく、そして強かった。
i914。彼女からその名前は聞いたことがなかった。
名前自体を知ってはいた、ようだが。
7年間。私にとって、高橋愛は、高橋愛だった。
- 756 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:45:52.66 0
-
「きょーは、なんにん?」
「何人出来る?」
「ん?なんにんでもいいよー」
いっぱいがいいかも。すぐおわっちゃうのつまんないしー
二人の会話で、自分が回想の世界から帰ってきた私。
愛ちゃん一体、何を言ってるの?
パチンとミティが指を鳴らすと、ぞろぞろと雑魚兵が踊り出てきた。その数ざっと、数百体。
「これだけで、いいの?」
「いいよ?今日は何が、食べたい?」
「うんとねー。いっちごー!!」
ぱーん!!!
愛ちゃんが手を振り上げた瞬間、彼ら全ての体に、無数の穴が開いた。
瞬きの暇すら与えず、手を振り下ろすと、兵士たちは消失していった。
愛ちゃんが、すべて、消した。
「よくできたね、i914。いちご、そこにあるから、食べておいで」
- 757 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:46:22.27 0
-
「おどろいた?あれが、大量破壊兵器、i914だよ。」
兵器…その言葉に、震える。
「さすがに、ガキんちょも、怖くなったでしょ?
表情も変えず、一瞬でだよ?美貴にも出来ないなぁ」
やめて
「あれを、2歳くらいから毎日してたらしいよ。」
もうやめて
「もう、壊れちゃってるよね。兵器としては、最高なんだろうけど…」
「やめろ」
体中の骨が軋んだ。でも、心が体を動かした。
なんとか立ち上がり、叫ぶ。
- 758 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:46:57.68 0
-
「愛ちゃんは、あんな子じゃない!!!兵器なんかじゃない!!」
愛ちゃんは、人間だ。誰よりも優しくて、傷つきやすい心を持った人間なんだ。
「何にもわかってないと、笑えるよね。ホントに。」
「あれは、高橋愛の、本当の姿。光を操り、すべてを光に返す、至高の能力。」
その言葉に、下級兵達の死に方が重なる。
愛ちゃんが、全部、消したの?
愛ちゃんは、たとえ敵でも無闇に傷つけたりしない…
その、愛ちゃんが一瞬で…無数の命を、消した…
「愛ちゃんは、あんな子じゃ…」
「その言葉自体が間違ってるってわからないの?」
- 759 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:47:51.33 0
-
「あれは、高橋愛よ。人間に害を与える使用法を忘れていただけ」
ほら、空間移動。あれも対象を光の粒にして、光速で移動して、元に戻す力。同じ原理。
「データによると彼女の祖母は何かの能力者みたいね。
能力の制御は、その祖母の力によるところが大きいみたいだけど。」
一度覗いた、愛ちゃんの深層心理。
おばあちゃんの温かい手は、彼女がこんな風に力を暴走させないための封印術でもあったのか。
「わたしは、それを少しこじ開けただけ。あれは愛ちゃんなのよ。
あれを否定することは、彼女を否定することだわ…
ただ正義感だけ振りかざして…それが何を意味するか、わかってないんじゃない?」
私は、頭を殴られた気分になった。
私はなんて恐ろしい言葉を何度も口にしてしまったのか…
愛ちゃんは、私のありのままを受け入れてくれたのに…私は…私は…
- 760 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:48:33.49 0
-
「i914!こいつも、片付けてくれる?」
「ん〜?」
体はいつも通りなのに、中身だけ幼児になってしまった愛ちゃんが、
いちごを口に咥えながら、とてとてと私の元に来た。
「このひともうしにそうだよ?やらなきゃ、だめー?」
「うん。その前に、このおねーちゃんに見覚えある?」
こうなってから、初めて眼を合わせる。いつもと変わらない、無邪気な笑み。
そうか、無邪気すぎるんだ。
ダークネスは罪の区別もつかない愛ちゃんを利用して、実験して。
「…しらない。」
その言葉と共に、愛ちゃんの手が、私の前に翳された。
恐怖に体が震えた。愛ちゃんにこんなことをさせることに。
私の命なんて、どうなったって構わない。
今、彼女が私の命を奪うことは、何時の日か、彼女が自分を責める条件となる。
そのことが、恐怖だった。
「じゃー、さよならするね。」
- 761 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:49:51.46 0
-
―いややーいやや!!―
心の声が、流れ込んでくる。これは、テレパシー?
―あかん!!やめろ!―
今度は、もっとはっきりと聞こえ始めた。愛ちゃんが中でもがいているのだろうか。
「愛ちゃん…」
「あい…ちゃん?あーしはきゅーいちよん、までがおなまえやよー」
―里沙ちゃん!逃げて!―あーしを、その線で貫いて!早く!―
どうして、この人がこんなに苦しまなくちゃ、いけない?この人が、何をしたの?
「勘違いしちゃダメだよ、ガキんちょ。
その為に…こうやって人を殺す為に、i914は創られたんじゃん。さ、やって?」
「うん!」
…どしゅん
- 762 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:50:42.70 0
-
愛ちゃんは、力を発動した。自分に向けて。
光の矢で、自身を貫いたのだ、左脇腹を強く深く。よろける身体を抱きとめる。
「下級催眠術じゃ、所詮この程度みたいだね。」
背後で、ミティの声がする。
「それとも、あんたたちお得意の共鳴?ガキんちょの生きたいって心が共鳴したの?」
高らかに笑って、彼女は告げた。
「今回は、あくまで、i914の力がどこまで利用できるかって実験。
まぁ、満足のいく数値だよ。次来る時は、もうちょっとこの状態が長く続くようにしないとね」
じゃ、また。そう言って消えるミティ。
その言葉に心底胸騒ぎがした。
でも、今、姿が見えなくなることは大きい。
ゆっくりと彼女を横たえると、さゆみんに連絡を取る為に愛ちゃんの懐を探った。
私の携帯は、粉々になってしまっていたから。
「…さちゃん、ごめん…ごめん…」
- 763 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:51:24.62 0
-
「愛ちゃん、気がつい…」
愛ちゃんは、大粒の涙を零しながら、何度も呟いた。
もう、殺してや…こんなん、いやや…
「そんなわけにいかないでしょ!それに、皆に死ぬなって言ってきたのは、愛ちゃんじゃない!」
半ば、絶叫だった。理由を問われたら、何も答えられない。
愛ちゃんがそう思いたくなるのも、頷けるほどの、惨状。
自分の知らない、得体の知れない謎の力。謎の人格。謎の記憶。暴走。
そして、私の言葉。
二人でいるのに、今、愛ちゃんは独り。
皆を助けてきた、愛ちゃんはそこにいなかった。孤独に打ち震える、独りの少女だった。
皆の孤独は感応できても、自分の孤独は感応できない。
皆の孤独に共鳴できても、自分の孤独に共鳴できない。
傷口を刺激しないように、私は愛ちゃんを抱きしめた。
「離して!」「あーし、里沙ちゃんを消してまう!」「お前、離せって!!」
「大事なんやって、皆が…里沙ちゃんが…これが暴走したら…
あーし…また…みんなを…傷つける」
そうやって…愛ちゃんは、いつも、いつも…
- 764 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:52:45.35 0
-
「愛ちゃんは、わかってない!」
愛ちゃんの抵抗が止む。反対に私は、腕の力を強めて、心で強く想った。
『愛ちゃんの力、怖くないわけじゃない。でも、愛ちゃんは愛ちゃんでしょ?
簡単に、死ぬなんて、言わないで。
方法は、きっとあるよ。皆も、私も、愛ちゃんの為ならなんでも出来る。
孤独に、負けないで。独りじゃないから みんなが、いるから』
「「ガキさん!!愛ちゃん!」」
その声に顔をあげると、田中っち、それにみんなが飛び込んできたのが見えた。
必死に想い続けたみたいで、愛ちゃんが気を失ったことに気付かなかった。
伝わった、だろうか…今、そのことを確かめる術が無い。
光井に、愛ちゃんの明日を視てもらわないと。
苦しむのは、仕方ない。
ただ、独りで苦しまないで欲しい。
愛ちゃん、どこにも行かないで。
- 765 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:53:41.01 0
- * * * * *
「ただいま、帰りました。」
任務を終え、謁見の間で、主に、報告をする。
いくら、氷の魔女なんて呼ばれる私でも、この方を前にすれば、自然と頭を垂れた。
「i914、力は以前と全く変わりません。むしろ、今の身体の分、威力が増している模様でした。」
頭を下げているため表情は見えないが、主は喜んでいるように感じた。
闇を操り、人の心を読み、その心に孤独を作り出す、ダークネス。
我が主ながら、なんとも恐ろしい存在だと思う。だが、そこに惹かれる。この世の中は、力が全てだ。
『i914、必ず手にいれろ。
あれは最高傑作だ、私の遺伝子を引き継いだものの中で、な。』
今一度命を受け、退室した。
高橋愛はダークネスの血を受け継いでいる。
このことを知ったら、あいつらはどんな顔をするだろう。
おそらくこのカードで、高橋愛を引き入れることはできないまでも、
リゾナンターから身を引かせることが出来るだろう。彼女の自身の意思で。
その後、どうなろうが、知ったこっちゃない。
酷く、愉快な気分になりながら、私は闇に紛れた。
- 766 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 16:55:06.85 0
- 以上です
あくまでパラレルってことでよろしくです
- 767 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 17:07:06.54 0
- オツ!
だけどGWで今から旅行に行くんで4日後帰ってきてから見ますw
- 768 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 17:42:43.56 O
- 中野からほ
すごいお話キテター
- 769 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 17:48:48.00 0
- 別にパラレル扱いじゃ無くてもよさげだが
リーダーが抱える闇の部分と言うのは色々使えそう
しかしダークネスって誰なんだろう?
- 770 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 17:53:01.40 O
- 作者さん乙
すげー!
- 771 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 18:12:21.72 O
- >>766
中野から乙
- 772 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 18:27:44.30 O
- 中野に行ってる間に大作来てたー
これは夜公演後も期待しとくぞ
- 773 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 18:44:06.96 0
- 本格的すぎる…
- 774 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 18:49:17.34 0
- 今読み終わりました
感動巨編乙です
- 775 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 18:51:59.53 0
- これから書く人は最初にタイトル書いといてほしいなー
そしたらあの話はどこだっけと検索しやすいのに
- 776 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:00:06.89 0
- あーそれはあるなあ
でもタイトルって難しいんだよなあ
- 777 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:07:43.24 0
- ダークネスってベッタな名前だよなぁ
だがそこがいい
- 778 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:13:00.23 0
- http://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17097.jpg
…あっしはもう長くない…
1年か…もって3年
それまでは全力であの子達を導いてやるんや
- 779 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:13:40.60 0
- 中野盛り上がってるかな
大阪公演行きたいなあ・・・
- 780 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:16:23.61 0
- >>727
いい感じだね
すごく好きな感じ
楽しみにしてます
- 781 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 19:52:28.21 0
- >>775
書く側からするとタイトルって場合によっては
かなり考えてつけたりするから時間かかるんだよね
このスレではとりあえず思いついたらサクッと書いて
サクッと投下するって気軽な所がいいとこだと思うんだ
- 782 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:19:24.11 O
- >>766
乙でした!
また愛ちゃんの暗い過去の一端が見えた気がするわ
- 783 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:50:30.93 0
- >>102です。予告どおり、小春編になります。
------
やっと見つけた、自分が自分自身で居られる場所。
小春が大切だと、必要だと言ってくれた人達が居る場所。
これまで最年少ということもあり、メンバーに多少厳しい事は指摘されながらも
大抵は甘やかされてきた小春。
だが、その日、見てしまったのだ。
仕事が終わり、喫茶リゾナントへ。
今日のおやつは何かな〜☆ なんて気楽なことを想像していたのは数分前のこと。
その場所は小春のものだったのに。
小春のいつもの位置に知らない女の子が座り、彼女が中心になって談笑しているのを見てしまった。
取って代わられた存在。
既にそこに自分が入り込める余地は無いような気がした。
- 784 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:51:35.88 0
- (お邪魔虫なのは・・・小春?)
やだ、やだよ。
またひとりぼっちになるの?
後頭部をがぁんと殴られたような衝撃。
足元の地面が崩れ落ちてしまうような感覚が小春を襲う。
ふらりと店内に足を踏み入れると制服姿の彼女が何か言いたげに小春の方を見て。
隣で里沙が何か言っているようだが、理解する前に脳裏から消え去っていく。
少女の口唇から決定的な言葉が紡がれる前に。
「私が居るからあなたはもう要らない」と告げられる前に。
言ってしまわなければならなかった。
「あなた、クラスで苛められるタイプでしょ」
本当はそんな事を言うつもりはなかったのに。
彼女は息をのみ、私を見つめている。
傷ついた瞳で。当然だ。
- 785 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:52:12.67 0
- 小春が初対面の相手に、こんな風に侮辱されたらまず手が出るだろう。
人を見かけだけで判断されるのは、誰だって嫌なのに。
でも、目の前の少女 愛佳はただ耐える。
言い返しもせず、そのまま言葉の刃を受け止める。
謝らなきゃ。
ちょっとイライラしていただけだと。
おどけて笑うのは不本意だが得意なのだから。
でも何故だろう。プライドが、簡単に謝ることをさせない。
だって、悪いのはこの子なんだから。
小春の居場所を奪った・・・
「小春、今日は帰る。いいよね?リーダー」
- 786 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:52:47.51 0
- 喉まで出かけた謝罪の言葉は強がりに変わる。
全員がこちらをきつい目つきで睨んでいるのを受け流す。
れいなあたりは今にも飛びかかって殴りかかりそうで。
「そやね、帰り」
「・・・おやすみなさい」
あぁ、やってしまった。
鉛を飲み込んだように重く圧し掛かる重圧。
大切な居場所は、自分自身の手で壊してしまったのだ。
今夜は、眠れそうになかった。
- 787 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:53:35.80 0
- それから数日後。
「小春!ちょうこっち来っ!」
「田中さん、いいですから!」
「なん言うと!小春は愛佳に謝ってすらない!」
再び喫茶リゾナンドを訪れた小春の元へれいなが立ちはだかる。
その後ろには腕をつかまれた愛佳が困った表情で立ちすくんでいた。
「小春、この際だからはっきり言うけん、よう聞き。
愛佳に謝らんと、この先あんた、孤立すっと」
「・・・それ、田中さんに関係あるんですか?」
「あるに決まっとる!どうしたん小春、何苛ついとぅ?」
まさに一触即発。二人の間に火花が散る。
流石に危険を察した愛が3人にこの場に割って入った。
同時にダークネスが放った合成獣が現れたとの連絡が通達されていたのもあるが。
「その話は後でしましょう。
れいな!小春!行くよ・・・愛佳もおいで!」
「は、はい」
「・・・はーい」
- 788 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:54:31.00 0
- あれから一言も口を利かないまま、リゾナントカーで現場に向かう。
ちらちらと愛佳が小春に視線を向けているが、それには気付かない振りをして。
「・・・いた!」
それは誰の口から出た言葉だったであろうか。
野生の狼を彷彿とさせるその外見。
低くうなり声を上げ、破壊活動を繰り返している。
アスファルトはえぐれ、街路樹は折れ、標識などはただの鉄くずに。
目に付くもの全てを無に返すかのように破壊していた。
「れいなとリンリン、そっち一匹に専念やよ!」
「またアレなん・・・リンリン行くっちゃ!」
「ハイ!」
今日のメンバーは愛、れいな、小春、リンリン、愛佳。
対する敵は2体。
まず一匹を潰す判断を愛が下した。
同時にれいなが狼に向かって加速。
- 789 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:55:17.80 0
- 「リンリン!れいなが引き付けるけん、低めの念弾打って!
出来る限り眉間を狙うっちゃ!こいつの弱点!」
「リョウカイ!」
「小春、もう一匹の周りにいつもの出して!動き押さえるよ!」
「はいっ!」
二匹目の狼の視界を覆うように闇が貼り付けられる。
破壊するものの動きが止まったところに愛の拳が叩きつけられた。
愛の指示はいつだって的を得ている。
特に戦闘の際、生死のぎりぎりを刷り合わせている時は。
それが場数を踏んだリゾナンダーなのだ。
それがメンバーから信頼を一身に受けるリーダーなのだ。
「凄い・・・」
そんな中、身を硬くして愛佳が立ち尽くしていた。
「愛佳!あんたはそっちで待っとーと!初めてやけん、まずは見て空気に慣れんと!」
蹴りを繰り出しながられいなが叫ぶ。
まだ満足に能力を使えない愛佳はただ防御する、それだけが戦いの全て。
もちろん、視えたことは口に出す。
それが愛との約束。
- 790 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:56:01.33 0
- いつの間にか二匹の獣は断末魔を残し絶命していた。
最期を迎えたその身体は砂のようにさらさらと崩れ落ち、やがて風と同化して消える。
「どうだった?れいなかっこいいっしょ?」
「さ、愛佳、帰ろう、リゾナントに」
「リンリンもガンバリましたー」
「皆さん・・・凄いんですね・・・」
また愛佳、愛佳。
小春だって頑張ったのに。
少しくらい気にしてくれたって―――
心の中で毒づく。
能力を使った後の小春は一時的に視力が失われる。まぁ、たった数十秒から数分のことだが。
誰にも話していない秘密。
誤魔化す為に仲間の輪から離れる。
それに―――この会話に入ることはできなかったから。
くるりと背を向けて歩き出す。
- 791 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:56:38.10 0
- 「久住さんっっ!!そっち駄目!!」
はっとした表情で叫ぶ愛佳。
それは小春には見ることはできなかったが。
「何で?もう何もないか見てくるだけだよ」
そう、数歩離れた瞬間、それは現れた。
物陰に隠れて気配を殺す、3匹目が居たのだ。
射程距離に小春が足を踏み入れた途端、その首筋に食らいつく。
獣がにやり、意思のあるかのように、笑んだ気がした。
「ひ・・・いやぁぁぁ!!く、くすみさ・・・!誰か!道重さん!」
激しい痛みに涙が滲んでいるのに、愛佳が取り乱して泣き叫んでいるのが視える。
ようやく戻った視力。
こんな時もこの眼は正しいものを映すのだ。
泣きじゃくる愛佳の声を聞きながら、小春の意識はそこで途切れる。
- 792 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:57:33.38 0
- 目が覚めた時、全ては終わっていた。
喫茶リゾナンドの二階のようだ。
「あ・・・!目が覚めたんですね!!」
「光井・・・さん・・・」
「もう、大丈夫です。あのヘンな狼は高橋さんと田中さんがやっつけましたから!」
「まさか・・・ずっとここに・・・?」
「・・・いけなかった、ですか?」
暫しの沈黙。
「・・・愛佳のせいで・・・久住さんが・・・」
もっと、この能力が上手く使えていたら、もっと早く気付けていたら。
怪我を負わせることもなかったのに。
そう懺悔しながら俯き肩を震わせる少女。
戦いを思い出す。
愛佳は止めた。その先に行くなと。
だけど、それを無視したのは自分自身の虚栄と慢心。
仮に何かあっても、自分ひとりで対処できる、そう思い込んでいた。
- 793 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:58:15.89 0
- 記憶の最後で泣き叫んでいた少女。そして今も己のせいだと後悔し、涙する少女。
ゆっくりだが理解していく。
愛佳はこんな自分の為に、泣いてくれた。今も。
偽りのものは見えない小春の視界に、彼女の涙は光り輝いていた。
自分はこんな優しい子を傷つけてしまった。
悔やんでも悔やみきれない。
こんなプライドなんて、いらない。
できるなら今すぐに時間を戻してあの場所からやりなおしたくてたまらない。
「愛佳」
小春は今、初めて少女を下の名前で呼んだ。
手招きして自分の隣に座らせ、そのの細い肩をそっと抱く。
「・・・この前は、ごめんね・・・」
- 794 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:59:00.28 0
- 愛佳は小春に対して、劣等感を抱いていた。
その明るさ、強気な心、注目せざるを得ないエネルギー。行動力。
だが、その逆もあったのだ。
小春が愛佳に抱く劣等感。
誰かに素直になれる純粋な心。
和を乱さず、周囲にできる気配り。
わがままだとは分かっているのだ。
自分が中心でないと嫌だった幼い自分がなんだかちっぽけな存在に思えてならない。
「愛佳・・・あの時酷いこと言ったよね、だから小春のこと想いっきり殴っていいよ」
「はぁ?なんでやねん!」
「小春、わかってたの本当は。でも、認めたくなくって、愛佳に・・・」
やつあたりしたんだ。
子供な自分に勝てなかったんだ。
愛佳は同じ年なのにどうしてこんなに強いんだろうと。
心から、そう思う。
- 795 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 20:59:42.37 0
- 「・・・あのー、何を勘違いされてるか知りませんが、誰も久住さんのこと嫌ってたり怒ってたりしませんから」
「・・・へ?」
「いや、だって、怒る理由がありません」
自分は今、大層間抜けな表情をしているのだろう。
小春のぽかんと空いた口を気にせず、続ける。
「視えたんです。久住さんが、一人で、泣いているのが」
あの時、戦闘前に。
愛佳がれいなに腕をつかまれた時。
れいなの持つ、他社の能力を増幅する能力、リゾナンドが愛佳に発動した。
もちろん、愛佳が視ようと思って視たのではない。
でも、視えてしまった。
暗闇の中で、小春がうずくまって大粒の涙を零している。
肩は小刻みに震え、必死に唇を食い縛り、声を殺して。
全身で、寂しい、寂しい―――と。
そう言っている様な気がして。
小春も自分と同じように、孤独と戦う夜があるのだと知った。
勝手に強いのだと、そう思い込んでいた人物は、実は背中合わせの弱さを抱いていたのだと知った。
だったら・・・取る行動はたった一つ。そう、判断した。
- 796 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:00:25.91 0
- 「これからよろしくお願いします、先輩!」
ぺこりと頭を下げて屈託なく笑う愛佳。
こんな子だから、皆に気に入られたんだろう。
そして、小春もまた。
「先輩、か――――――」
いつまでも子供のままでは居られない。
自然に頬が緩む。
あぁ、こんな風に笑えたのは、どれくらいぶりなんだろう。
ほんの少し、彼女のお陰で成長できそうな気がした。
そうだ、何処か痛いところはないですか?
お水、飲みますか?
あぁ、皆さん下階に居ますから呼んで来ましょうか?
思い出したのか、そう一気に聞いてくる愛佳。
今度は感情に素直になろう。
「それより、愛佳のことを知りたいな。
初めて会ったときに出来なかった、いろんな話をしよう。
だって、私達―――仲間でしょ?」
- 797 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:02:06.72 0
- 終了です。
タイトルは正直思いつかないのでどなたか考えてくれると助かります。
- 798 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:24:05.96 0
- キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
待ってました!ありがとうありがとう!
- 799 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:30:04.65 0
- 小春編乙!
泣けるなぁ・・・二人の心理描写にグッときた
小春と愛佳はやっぱナイスコンビやね
ところで・・・続けて短編投下してもおK?
- 800 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:31:12.68 0
- おk
- 801 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:36:11.25 0
- >>800
thx!
6期ものの続き書いてたんだけど煮詰まってたら先越されちゃってたorz
>>679-696があまりにも素敵過ぎですので投下断念
代わりにGWっぽいネタ短編を書いてみました
感動巨編の後に空気読まず恐縮です・・・じゃ行きます
- 802 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:37:12.50 0
-
多くの人手でにぎわうゴールデンウィーク
愛は珍しく喫茶リゾナントを閉めて、里沙と久しぶりの休日を楽しんでいた
「里沙ちゃん、あーしお腹空いたがし」
「そうだね、愛ちゃん何食べたい?」
「・・・・・・」
いつもならここで自分の食べたいものを勢い良く列挙していく愛だったが返事はない
愛は何故か黙り込んで、大通りを挟んで向こう側にある建物の上層階を見上げていた
「愛ちゃん、どうしたの?あそこのデパートに行きたいの?」
「違うがし・・・あのデパートの屋上から・・・里沙ちゃんは感じんか?」
「・・・・・・・・・」
里沙も愛と同じように見上げてスッと精神を統一させる
確かに、かすかにではあるが感じる
ダークネスの手の者が現われる直前に感じる重く黒いものではない
しかし、いつもいっしょにいる仲間達から感じる柔らかいものでもない
里沙は胸騒ぎを感じた
それは愛も同じだったようで、ふたりは目で頷き合った後一目散に駆け出した
エレベーターを待っている程の余裕も時間もない
ふたりは込み合うエスカレータを一気に駆け上がった
重たいガラスの扉に全身をぶつけるようにしてふたりは屋上に飛び出した
- 803 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:37:58.64 0
-
しかし、そこには休日の平和な風景が広がるのみ
楽しそうに駆け回ったり、小さな遊具で遊ぶ子供達
できたてのソフトクリームを嬉しそうに頬張る親子
「あれ?」
「愛ちゃん・・・油断しちゃだめ・・・さっきよりも強くなってる」
確かに強まっている
ふたりが目標に近づいたからではない
明らかに目標から発せられるものが強く濃くなっている
「しかも・・・複数いるみたいね」
そしてそれは数種類感じられた
「こんな所で誰が・・・何をするつもりなんやろか・・・」
得体の知れない目標と計り知れないその目的に愛は戸惑いの色を隠せない
最悪の場合、ここに居る幼い子供たちまで巻き添えに遭うのだから
「愛ちゃん・・・ちょっと、あそこ・・・すごい人だかりなんだけど・・・」
里沙が指を差す方向には確かに大人数の人だかり
親子連れだけでなく、カップル、制服姿の学生、ちょっとヲタク風な男性
さまざまな年齢層の男女が屋上の片隅に設けられた簡易ステージに向いて集まっていた
- 804 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:38:45.02 0
-
「なんやろ?なんかショーでも始まんの?」
「なんだろ・・・でも何があるとかは書いていないっぽいけど・・・」
ふたりは警戒しながらもその人だかりに近づいていく
ステージのバックに掲げられた看板には“ゴールデンウィーク!ちびっこひろば”としか書かれていない
集まっている者達は皆、これから始まるであろう何かに期待の色でいっぱいの笑顔だった
ドワァァァァアアアン!!!
「おわっ!」
「何?何の音?!」
愛と里沙がその人だかりの最後列にたどり着いた時、ステージ横に設置されたスピーカーから大きな音が放たれた
「ドラの音?」
続いて流れてきたのは軽快な中華風の音楽
そして割れんばかりの拍手と歓声
『ハーーーーーイ!皆サーン、バッチリですカーーーーー!!』
「「「 バッチリでーす!! 」」」
「里沙ちゃん・・・この声・・・」
「・・・・・・うん」
- 805 :名無し募集中。。。:2008/05/03(土) 21:39:43.83 0
-
人だかりの隙間から見えた、声の主は・・・紛れもなくリンリンだった
ステージに上がっているリンリンはミニのチャイナドレスにおだんごヘアー
見事なまでの中華娘ないでたちに、愛と里沙はあんぐりと口を開けて見つめるしかなかった
「あーし、リンリンのあーいう格好、初めて見たがし・・・」
「うん、あたしも・・・」
いつもテンション高めのリンリンだが、この時はさらにテンション↑↑でステージを進行している
集まったギャラリーもヒートアップしているようで、子供達ははしゃいで立ち上がっている
男性達はリンリンの名を連呼すしている
リンリンはステージ上から手を振りながら笑顔で応えている
『皆サン、元気イイですネー!じゃ、サッソク始めマスだー!』
さらに歓声は大きくなる
『本物のパンダとイッショに仲ヨク、写真サツエイ会ぃぃぃーーーーっ!!』
「パンダ・・・パンダ言うたで、あの子・・・」
「うん・・・言ったね・・・パンダって言ったね・・・」
『カワイイパンダのジュンジュン、カモォォォーーーンッ!!』
『バウ!』
ttp://yagutimari.mine.nu/desi/RODA/files/desi0232.jpg
ステージ袖から現われたのは・・・紛れもなくパンダ(中の人はジュンジュン)だった
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