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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第3話

1 :名無し募集中。。。:2008/04/27(日) 22:29:06.99 0
前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第2話
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1208587442/

まとめサイト
http://resonant.s336.xrea.com/cgi-bin/up/index.cgi

テンプレ>>2-11ぐらいまで

888 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:10:42.61 0
その日、久住小春は仕事を終えて喫茶リゾナントへと向かっていた。
仕事自体は何てことのない、雑誌のインタビューだったのだが…
自分を作って質問に答えていくという「作業」に、若干疲れを覚えたのは仕方のないことかもしれない。
前までの小春なら、難なくその作業を片付けることが出来たが…
今の小春には、二つの顔がある。
芸能人、そして、ダークネスと闘う超能力者集団リゾナンターの一員。
最近では、15歳という年齢の割に大人っぽいという評価をされるようになってきたが、
小春はそのことに対して何も思うことはなかった。
ただでさえ、芸能人として普通の女子高生とは異なる日常を送っているというのに、
超能力を使って悪の手先と闘う日々…これで、大人びない方が無理な話かもしれない。

「…?」

ふと、何か聞こえた気がして小春は歩みを止めた。
音の正体を探るように、小春は耳を澄ます。
その音は、路地裏の方から聞こえてくるようだった。
日も暮れてきている、けして治安のよいとは言えない街の路地裏に足を向けるのはあまり気が向かないことだったが、
小春は意を決して音の聞こえてくる方へと歩みを進める。
音の正体が、一歩一歩近づく度にはっきりしてきた。


889 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:11:24.27 0
「…捨て猫、か」

小さく呟いて、小春は足下で鳴き声をあげている子猫に感情の見えない瞳を向ける。
目こそ開いているが、小春の手のひらくらいの大きさしかない子猫。
種類が何かまでは分からないが、少なくともここに放置していたらそう遠くないうちに死んでしまうことは、
動物を飼ったことのない小春にも分かった。
目の前の子猫は鳴き声こそあげるものの、殆ど動こうとはしなかったから。
小春は、ため息を一つついて子猫を箱からひょいと拾い上げる。
捨てた人間は、多分考えも動物に対する愛情も浅い人間なのだろう、と小春は冷笑を浮かべた。
子猫の入っていた箱は、ぼろ布こそ敷き詰めてあるものの、深さがあり…
とてもじゃないが、子猫が自力ではい上がるには厳しく。
また、雑音の激しい街の路地裏という、余程耳のよい人間でもない限りは鳴き声に気づかないところに子猫を放置したということ。
捨てた人間に不快感を覚えつつ、小春は路地裏を後にした。


「めっちゃ可愛い、小春、どこで拾ってきたとー?てか、この子弱ってる…愛ちゃん、ミルクないー?」
「ちょっと待ってて、今出すから」
「この子、種類何なのかなー?絵里、分かる?」
「分かるわけないじゃん、そんなの」

リゾナントに着いた途端、これである。
小春は小さく苦笑しつつ、手の中の子猫を見つめた。
耳がたれていて、茶色い縞々模様の体。
今は衰弱してるが、元気になった時には愛くるしい姿でリゾナンターの面々を癒してくれるだろう。
想像しただけで…やかましそうだ。

890 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:13:27.09 0
「その子、スコティッシュフォールドなんちゃいます?耳のたれ具合とか、色とか」
「そうなの?あたし動物とか飼ったことないから、全然種類とか分かんないや。みっつぃーは何でも詳しいね」

みっつぃーと呼ばれた少女…光井愛佳は、小春の言葉に少し照れたように笑った。
普段、小春は愛佳に対しては憎まれ口しか叩かないせいだろう。
珍しく、小春が普通に言葉を返してくれたことに愛佳は嬉しさを感じずにはいられない。
住んでいる環境などの違いは多々あれど、小春と愛佳は同学年で、同じリゾナンターの一員。
愛佳としては友達、とまではいかなくても…仲良くなりたいという
気持ちはある。その気持ちを知ってか知らずか、小春は愛佳に冷たいわけなのだが。

「小春、この子どうすると?家で飼うと?」

先輩である、田中れいなの言葉に小春は少し考え込む。
普通の女子高生として生活を送っていれば、迷うことなく飼うのだが、小春は芸能界に身を置いている。
1人暮らしなので、親の許可がいるとかそういうことはないが、逆に同居人がいないということがネックだ。
写真集の撮影などで、数日家を空けることも少なくない現状を考えると、飼うことは厳しい。
だからといって、またこの子をあの路地裏に捨ててくることも出来るわけもなかった。
子猫の姿に、両親に捨てられた自分を投影してしまったから。
小春が答えに困っていると、リーダーの高橋愛が助け船を出した。

891 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:14:26.24 0
「この子、うちで飼うわ。小春の環境やと、満足に面倒みてあげれんやろし」
「あー、何か忘れそうになるけど、小春って芸能人なんだもんね。確かに、小春の環境じゃ動物飼うのはきついね」

サブリーダーの新垣里沙の言い方に、小春は少々ムッときたものの特に言い返すことはしなかった。
リゾナンターとして闘うために小春は仕事量を調整してもらってるため、
リゾナンターの面々と出会う前よりもテレビなどの媒体に出る機会が減ったのは事実。
加えて、芸能人モードをオフにしている時の小春は美少女でこそあるものの、愛想や「華」がまるでない。
リゾナンターの面々が、小春が芸能人であることを忘れそうになるのも無理はない話だった。
小春は、お願いしますと頭を下げ、手の中の子猫を愛に手渡した。
手渡したその時、少し寂しそうな感情を表に出してしまったことに小春は気付かない。

「名前とかどうすると?小春が拾ってきたんだから、小春が名前を付けるっちゃろ?」
「…名前、ですか…どうしようかな」

とりあえず、リゾナントに連れてくればいいだろうくらいの感覚で拾ってきた子猫である。
ましてや、自分で責任持って世話をするわけでもないのに名前を付けるというのは、何だか変な感じがしなくもないなと小春は思う。
だが、拾ってきた自分に名付けの権利がある以上、何か名前を考えなければならない。
小春は、悩んだ挙げ句にこう答えた。

「ミー、にします。 覚えやすい名前の方が、みんなも呼びやすいでしょうし」
「おぉ、この子はミーという名前になったんですカ。呼びやすい名前ですネ」
「ミー、バナナ食べるカ?」
「ジュンジュンー、どう考えてもその子、バナナ食べないから。自分で食べてなさい」
「ミルク、どうやって飲ませたらええんやろ?なぁ、誰か知ってるー?」

892 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:14:53.37 0
ミーが周りの面々に囲まれてるのを見て、小春は小さく微笑む。
ミーは、孤独ではなくなった。一人は寂しい、きっと猫であったとしても。
ここに居れば、誰かしら構ってくれるだろう。
寒さに震えることも、怖い野良犬に噛み殺される
こともない。小さく微笑みを浮かべてミーを見つめる小春に、愛佳は穏やかな眼差しを注いだ。
普段、あまり笑ったりしない小春の笑顔は、愛佳のみならずリゾナンターの面々にとっても貴重なもの。
皆、小春の微笑みに気付きながらもあえて触れようとはしなかった。
そのことに触れたら、きっと小春は無表情になってしまうから。

「高橋さん、子猫にミルク飲ますんやったら、パンにミルクをひたすとええですよ。おっぱいの代わりになるし」
「みっつぃー、詳しいじゃん。昔、飼ってたの?」
「いえ、家で飼ったことがあるわけじゃないんですけどね。
 前に、野良の子が歩けるようになるまでの間、そうやって世話しとったんで」

会話をBGM代わりにしながら、小春はカバンから手帳を取り出して予定を確認する。
仕事の予定は数日ないが、義務教育期間中の身である小春は、中学校に顔を出さなければならない。
学校に顔を出したところで、今更授業の内容についていけるわけもないのだが。
仕事のない日は必ず学校に行くということが事務所との契約内容に入っている以上、
授業についていけなかろうとも行かねばならない。
小春は、手帳を仕舞いながら愛に話しかける。


893 :名無し募集中。。。:2008/05/04(日) 15:15:20.32 0
「高橋さん、明日からちょっと中学の方に行かなきゃいけないんで、あたしそろそろ失礼しますね。ミーのこと、よろしくお願いします」
「あいよ、まかしといてやー」

皆のまたねーと言う声に会釈を返して、小春は店の外に出る。
青白い月が、青みがかった黒い空に浮かんでいた。
遅くなったからといって、怒る親が家に居るわけでもないのだが、何となくあの場にいるのがこそばゆくなったから。
歩き出した小春に、後ろから声がかかる。
振り返ると、愛佳が小春を見つめていた。

「どうかした?用事ないなら、あたし帰るけど」
「あの…明日も、リゾナント来てくれはりますよね?」
「多分ね。んじゃ、おやすみ、みっつぃー」
「おやすみなさい、久住さん」

みっつぃーは変わった子だなと、小春は再び歩き出しながら思った。
普段からあれだけ素っ気なく対応しているというのに、愛佳はいつも小春に笑顔で話しかけてくる。
迷いのないキラキラした目で見られると複雑な気持ちになってしまうのは、多分、羨ましいから。
小春がいつしか失ってしまった、純粋な眼差しを愛佳は持っている。
その純粋さに惹かれているのに、素直に愛佳の手を取ることが出来ない自分自身に小春は自己嫌悪を感じずにはいられなかった。
素直に接することが出来れば、きっともっと楽になれるのに。
何となく、小春は振り返ってみる。愛佳はまだ、店の出入り口から小春を見ていた。
目が合うと、愛佳は手をぶんぶんと振ってくれる。

「調子狂うな…本当」

でも、小春にとってけして嫌な気分ではなく。
口元に浮かぶ笑みを自覚しながら、小春は愛佳に手を振り返した。


穏やかな日々は続かない。−−−数日後、悲しみがこだまする。


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